退職後の生活を支える失業保険ですが、「初回の振込はいつ、いくらもらえるのか」と不安に感じる方は少なくありません。
結論から述べると、初回に振り込まれる金額は、待機期間(7日間)や給付制限を経た後の「最初の支給対象期間分の合計額」であり、人によって異なります。
目安としては、退職前の月収の50〜80%程度が日数分支給されると考えておくとよいでしょう。
本記事では、初回に受け取れる失業保険の金額の目安や計算方法、注意点についてわかりやすく解説します。
これから失業保険を受給しようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
あなたの状況に近いのは
どちらですか?
初回の支給額はいくら?計算前に確認を!
失業保険の初回はいくら?基本を3つのステップで確認
失業保険の初回給付金をいくらもらえるのか、計算の基本を3つのステップで理解しておきましょう。
STEP1:賃金日額を計算する
まず、給付額の基礎となる「賃金日額」を算出します。
賃金日額とは、離職する直前6ヶ月間に支払われた給与の総額を180日で割った、1日あたりの給与額のことです。
計算式:退職前6ヶ月の給与総額 ÷ 180日 = 賃金日額
給与総額には基本給のほか、残業代や通勤手当なども含まれますが、賞与(ボーナス)は含まれません。
STEP2:基本手当日額を確認する
次に、1日あたりに支給される失業保険の金額である「基本手当日額」を算出します。
STEP1で計算した賃金日額に、年齢や賃金日額に応じた給付率(50%〜80%)を掛けて決まります。
計算式:賃金日額 × 給付率(50%〜80%) = 基本手当日額(1円未満切り捨て)
賃金が低い方ほど、給付率が高く設定されている点が特徴です。
また、基本手当日額には年齢区分ごとに上限額が定められています。
離職時の年齢 | 上限額 |
---|---|
29歳以下 | 6,945円 |
30~44歳 | 7,715円 |
45~59歳 | 8,490円 |
60~64歳 | 7,294円 |
STEP3:初回の支給日数を計算する
最後に、初回に振り込まれる金額を計算します。
STEP2で算出した基本手当日額に、初回の支給対象となる日数を掛けて決まります。
計算式:基本手当日額 × 初回の支給対象日数 = 初回支給額
2回目以降は4週間(28日)分がまとめて振り込まれますが、初回のみ認定日の関係で日数が少なくなります。
【モデルケース別】初回の失業保険はいくらもらえるかシミュレーション
次のモデルケースを参考に、初回の支給額がいくらになるか確認してみましょう。
離職前の月収 (額面) | 賃金日額の目安 | 基本手当日額の目 (30〜44歳の場合) | 初回支給額の目安 (認定対象日数21日分) |
---|---|---|---|
20万円 | 約6,667円 | 5,000円 | 105,000円 |
25万円 | 約8,333円 | 6,250円 | 131,250円 |
30万円 | 約10,000円 | 7,500円 | 157,500円 |
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失業保険の初回支給額が少なくなる2つの理由
「初回の失業保険は思ったより少ない」と感じる理由は、主に次の2つです。
- 全員共通の「待機期間(7日間)」があるため
- 自己都合退職には「給付制限」があるため
それぞれの理由について、詳しく解説します。
理由1:全員共通の「待機期間(7日間)」があるため
失業保険の受給が開始される前には、退職理由にかかわらず、必ず7日間の待機期間が設けられています。
待機期間は、求職者が実際に失業状態にあることを確認するためのものであり、失業保険の支給対象にはなりません。
初回の給付は待機期間を差し引いた日数で計算されるため、給付額が少なくなる一因となります。
理由2:自己都合退職には「給付制限」があるため
自己都合による退職の場合は、7日間の待機期間に加えて1か月の給付制限が適用されるため、初回の給付がさらに遅くなります。
給付制限とは、自己都合で退職した場合に設定される、失業保険が支給されない期間のことです。
給付制限期間があるため、実際に支給が開始される日が遅れ、結果的に初回の支給額が少なく感じられる原因となります。
なお、給付制限期間については、2025年4月1日の法改正によって大きな変更があります。
「自己都合だから給付制限は仕方ない…」
と諦めていませんか?
専門家のサポートで、その給付制限が
なくなる可能性があります。

【2025年4月法改正】自己都合退職の給付制限が原則1か月に短縮
これまで、自己都合で退職した場合の給付制限期間は原則として2か月でしたが、労働者の早期の生活安定と再就職を促進するため、2025年4月1日より、原則1か月に短縮されることになりました。
項目 | 2025年3月31日まで | 2025年4月1日から |
---|---|---|
給付制限期間 | 原則2か月 | 原則1か月 |
離職を余儀なくされた方が、より速やかに経済的な支援を受けられるようにするための重要な変更点といえるでしょう。
ただし、過去5年間に3回以上の自己都合離職をしている場合は、給付制限期間が3か月となる点に変更はありません。
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失業保険の初回振込は退職理由で変わる!
失業保険の初回振込時期は、退職理由によって異なり、会社都合退職か自己都合退職かで大きく変わります。
会社都合退職の場合
会社都合退職(解雇や倒産など)の場合は、失業保険の支給が比較的早く始まります。
退職後にハローワークで求職の申し込みを行い、その後7日間の待機期間を経て、失業認定を受けると支給が開始されます。
待機期間の7日間が終われば、ほぼすぐに初回の振込が行われるため、退職後おおよそ1か月以内に初回給付が振り込まれることが一般的です。

自己都合退職の場合
自己都合退職(個人的な理由での退職)の場合は、初回の振込が遅れます。
自己都合退職の場合は、退職後にまず7日間の待機期間が設けられ、その後さらに原則1か月間の給付制限期間があります。
給付制限期間中は失業保険が支給されないため、実際に初回の給付が行われるのは退職から約1か月半~2か月後となります。
特定理由離職者の場合
自己都合退職であっても、正当な理由があれば給付制限が適用されない「特定理由離職者」として認められるケースがあります。
たとえば、病気や心身の障害、家族の介護、希望に反する転勤など、やむを得ない事情での離職が該当します。
ただし、正当な理由に該当するかどうかはハローワークが判断するため、条件をよく確認したうえで指定された必要書類を提出しなければなりません。
特別な事情があって退職した方は、ハローワークに特定理由離職者として認められないかどうか、一度確認してみましょう。
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失業保険の基本|受給条件と受け取りまでの流れ
そもそも失業保険はどのような制度なのか、基本的な仕組みや受給条件、受け取りまでの流れについて解説します。
失業保険の目的と受給条件
失業保険は、失業した人が再就職活動をおこなうための経済的支援を提供する制度です。
受給条件は次のとおりです。
- 再就職する意思と能力があり、就職活動をおこなっているにもかかわらず、就業できない状態にあること
- 自己都合退職の場合、離職日以前の2年間で、雇用保険の被保険者期間が通算12か月以上あること
- 会社都合退職の場合、離職日以前の1年間で、雇用保険の被保険者期間が通算6か月以上あること
失業保険は雇用保険に加入しており、再就職をする意思と能力がある方に向けた制度です。
そのため、アルバイトやパートなどで雇用保険に加入していなかった方や、再就職する意思がない方は、失業保険を受け取ることができません。
失業保険の手続きから初回給付金を受け取るまでの流れ
離職から初回給付金を受け取るまでの一般的な流れは次のとおりです。
離職・離職票の受け取り
会社を退職し、会社から「離職票」が交付されるのを待ちます(通常10日~2週間程度)。
ハローワークで求職申し込み
必要書類を持参し、お住まいの地域を管轄するハローワークで手続きを行います。
待機期間(7日間)
全員に適用される、失業保険が支給されない期間です。この間に失業状態にあることを確定させます。
給付制限(自己都合の場合)
自己都合退職の場合、原則1ヶ月(旧制度では2ヶ月)の給付制限があります。この期間も支給はありません。
初回失業認定日
指定された日にハローワークへ行き、失業状態にあることの認定を受けます。
初回給付金の支給
認定日から約5~7営業日後に、指定した銀行口座へ初回の失業保険が振り込まれます。
失業保険の申請に必要な書類
失業保険の手続きには、主に次の書類が必要です。
- 離職票-1、2
- 個人番号確認書類(マイナンバーカードや通知カードなど)
- 身元確認書類(運転免許証やパスポートなど)
- 証明写真2枚(縦3.0cm×横2.4cm)
- 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード
なお、以前の勤務先から離職票が届くまでに10日〜2週間程度かかることがあります。
離職票が届いたらすぐに失業保険の手続きができるよう、待っている間にほかの書類を準備しておきましょう。

失業保険の受給期間と支給日数
失業保険の受給期間は、被保険者期間や年齢、離職理由によって異なります。
会社都合退職の場合の受給期間は90日~330日です。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
一方、自己都合退職の場合は被保険者期間に応じて90日~150日で定められています。
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生活費が不安なときに使える!失業時に活用できる公的支援制度
失業時には、失業保険以外にも利用できる支援制度があります。
- 再就職手当
- 職業訓練(ハロートレーニング)
- 生活保護制度
- 住宅確保給付金
金銭的支援やスキルアップを求める方はチェックしておきましょう。
再就職手当
再就職手当は、失業保険(基本手当)の受給資格がある人が、所定の条件を満たして早期に再就職した場合に支給される手当です。
失業保険の受給期間が3分の1以上残っていることや、再就職先で1年以上の雇用が見込まれることなど、受給するためには一定の条件が設けられています。
支給額は、失業保険の残日数に応じて変動し、再就職によって受給しきれなかった分の一部が手当として支払われます。
スムーズな職場復帰を経済的に支援する制度であり、転職活動中の大きなインセンティブとなるため、早期に就職が決まった場合は必ず申請しましょう。
職業訓練(ハロートレーニング)
ハローワークでは、再就職に必要な知識やスキルを習得できる「職業訓練(ハロートレーニング)」を実施しています。
職業訓練は基本的に無料で受講でき、失業保険の受給中でも受講が可能です。
とくに新しい業種への転職やキャリアアップを目指す場合、このような訓練を活用することでスムーズな再就職が期待できます。
また、一定の条件を満たせば、「職業訓練受講給付金」が支給される場合もあり、経済的な支援を受けながら学ぶことができます。
生活保護制度
万が一、失業保険や貯蓄では生活が立ち行かなくなった場合には、生活保護制度を活用することも選択肢の一つです。
一定の要件を満たせば、国から生活費や住居費、医療費などの支援を受けられます。
生活保護は最後の手段として考えるものですが、失業時に生活が困難な場合には重要な支援制度です。
住宅確保給付金
離職や休業などにより収入が減少し、住居を失うおそれがある場合は、各自治体が実施している「住宅確保給付金」の制度を利用できる可能性があります。
住宅確保給付金では、一定の条件を満たせば、家賃相当額の一部または全額を支給してもらえます。
この制度を利用することで、住まいを維持しながら、安心して就職活動に取り組むことができます。
再就職を目指すうえで、住居の確保は非常に重要な土台であるため、お住まいの自治体の窓口や公式サイトなどで制度の詳細を確認しておくとよいでしょう。
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退職後の生活に不安を感じたら|専門サポート「退職バンク」という選択肢
失業保険は退職後の生活と再就職を支える重要な制度ですが、手続きが複雑であるため、書類の収集や申請に時間がかかってしまうケースも少なくありません。
複雑な手続きやハローワークとのやり取りを避け、給付制限期間中の経済的な不安を解消したいと考えているのであれば、失業保険のサポートサービス「退職バンク」の利用がおすすめです。
退職バンクでは、社会保険労務士をはじめとする専門家が一人ひとりの状況に最適な受給方法を提案し、申請手続きを全面的にサポートします。
自身で申請するよりも受給額が大幅に増える可能性も十分にあります。
複雑な失業保険の条件や申請方法についても気軽に尋ねられるため、まずはLINEの無料相談から始めてみてください。
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失業保険に関するよくある質問
失業保険に関するよくある質問に回答します。
初回給付金の金額はどのように決まりますか?
初回給付金の金額は、「基本手当日額 × 最初の失業認定日の対象となる日数」で決まります。
基本手当日額は、退職前6ヶ月の給与総額を180で割って算出した「賃金日額」に、50%〜80%の給付率を掛けて決定されます。
最初の失業認定日の対象となる日数については、7日間の待機期間を除いた日数でカウントされるため、多くても約20日分です。
なぜ初回の支給額は少なくなるのですか?
初回の支給額は少なくなる主な理由は2つあります。
1つ目は、失業保険の申請後、全員に適用される「待機期間(7日間)」は支給の対象外となるためです。
2つ目は、最初の認定日までの日数が、2回目以降の認定期間(通常28日分)よりも短くなることが多いためです。
自己都合で退職した場合、初回はいつもらえますか?
自己都合で退職した場合、原則として1か月の給付制限期間があるため、初回の給付金が振り込まれるのはその期間が終わってからとなります。
一般的には、手続きをして1か月半~2か月ほどの時間がかかると認識しておきましょう。
パートやアルバイトでも失業保険はもらえますか?
雇用保険の加入条件を満たしていれば、パートやアルバイトの方でも失業保険を受給できます。
原則として、「離職日以前の2年間に、被保険者期間が通算して12か月以上あること」が条件となります。
なお、会社都合退職の場合は「離職日以前の1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あること」が条件です。
初回の振込日が土日や祝日に重なった場合はどうなりますか?
振込日が金融機関の休業日(土日・祝日など)にあたる場合、通常はその直前の営業日に振り込まれます。
給付金の上限はありますか?
基本手当日額には次のように上限額が定められています。
離職時の年齢 | 上限額 |
---|---|
29歳以下 | 6,945円 |
30~44歳 | 7,715円 |
45~59歳 | 8,490円 |
60~64歳 | 7,294円 |
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まとめ:初回の給付金は待機期間によって少なくなる
失業保険の初回給付金は、7日間の待機期間があるため、通常よりも少なくなります。
一般的には、基本手当日額の約3週間分が初回時に振り込まれると覚えておきましょう。
また、自己都合退職の場合には約1か月の給付制限があるため、さらに金額が少なくなる可能性もあるうえ、初回振込まで時間もかかります。
初回給付金を受け取るためには、まず会社から離職票を受け取り、ハローワークで手続きする必要があります。
手続きや給付条件は複雑であるため、不安がある方は「退職バンク」に相談することも検討してみてください。
退職後の生活に不安を感じたら
専門サポート「退職バンク」という選択肢
失業保険は、退職後の生活を支える重要な制度ですが、手続きは複雑です。
もしあなたが少しでも不安を感じているなら、専門家に相談することが最善の解決策かもしれません。
- 1日でも早く、1円でも多く給付を受けたい
- 複雑な手続きやハローワークとのやり取りは専門家に任せたい
- 給付制限期間中の経済的な不安を解消したい