個人事業主やフリーランスとして働く方々にとって、失業保険の受給は難しいと考えられがちです。
しかし、一定の条件を満たすことで、これらの方々も失業保険を受け取ることが可能です。
本記事では、個人事業主やフリーランスが失業保険を受給できるケースや、その具体的な条件、手続きの流れについて詳しく解説します。
これにより、万が一の際にも適切なサポートを受けるための知識を身につけていただければ幸いです。
フリーランスでも失業保険をもらいたい方へ
個人事業主・フリーランスでも失業保険を受給できる?
会社員として働いていた人がフリーランスとして独立する前に退職した場合、退職時点で雇用保険に加入しており、一定の受給要件を満たせば失業保険を受給できます。
しかし、開業届を提出すると求職活動を行っているとみなされなくなるため、失業保険の支給が打ち切られます。
開業のタイミングを計画的に調整し、失業保険の受給終了後に開業届を提出するのが望ましいでしょう。
ただし、会社員時代に副業として事業をおこなっており、退職後にその事業を本業とする場合は注意が必要です。
副業収入が一定額以上あると、失業と認められず、失業保険の受給資格を失う可能性があります。
また失業保険受給中に事業所得が発生した場合は、定期的に報告する必要があり、収入の状況によっては受給額が減額される可能性があります。
開業届を提出する適切なタイミング
開業届を提出する時期は、失業保険の受給を考慮しながら適切なタイミングを見極めることが求められます。
開業届を提出した時点で「求職活動をしていない」と判断されるためです。
求職活動を継続しながら事業の準備を進めて開業届の提出時期を調整するか、失業保険受給後に開業届を提出するのが最適でしょう。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /
失業保険受給中の副業と収入の取り扱い
失業保険受給中に副業をおこなうことは可能ですが、条件を超えると受給資格を失ったり不正受給を指摘されたりするため注意が必要です。
副業収入が受給資格に与える影響
失業保険を受給している間に副業を行うことは可能ですが、一定の条件を超えると受給資格を失う可能性があります。
- 収入の基準: 副業での収入が月に一定額以上
- 労働時間の基準: 週の労働時間が20時間以上
また、副業をしながらでも、失業保険を受給するためには、引き続き積極的な求職活動を行い、その実績を報告する必要があります。
副業としてのフリーランス活動と申告方法
フリーランスとして副業を行う場合、収入の申告が必須です。ハローワークでは以下の点を確認されます。
- 副業の収入額
- 労働時間
- 求職活動の有無
申告方法は、認定日に申告書を提出することです。証拠書類(請求書や振込明細など)を提出する場合もあるため、準備しておきましょう。
申告を怠ると、不正受給とみなされ、後日返還請求を受けることがあるため、正確な情報を報告することが重要です。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /
失業保険とは?基本的な仕組みと目的
そもそも失業保険とはなにか、基本を解説します。
失業保険の概要
失業保険とは、雇用保険に加入していた労働者が、会社都合または自己都合で退職し、一定の条件を満たした場合に給付を受けられる公的制度です。
目的は、失業期間中の生活支援と再就職の促進であり、雇用保険制度の一環として運営されています。
雇用保険との関係性
雇用保険は、失業保険の財源となる制度で、会社員や一部の契約社員が加入します。
雇用保険に加入していた期間が一定以上である場合に失業保険の受給資格が得られます。
一方、フリーランスや個人事業主は通常、雇用保険の適用外となります。ただし、特定の条件を満たせば特例として雇用保険の加入が可能な場合もあります。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /

失業保険を受給するための具体的な条件
失業保険を受給するためには、雇用保険の加入期間や求職活動の実施など、いくつかの条件を満たす必要があります。以下に、具体的な要件を詳しく解説します。
離職前の雇用保険加入期間が一定以上ある
失業保険を受給するには、退職前の雇用保険の加入期間が一定以上であることが条件となります。加入期間の要件は、離職理由によって異なります。
自己都合退職 | 過去2年間で12か月以上 |
---|---|
会社都合退職 | 過去1年間で6か月以上 |
加入期間の確認は、雇用保険被保険者証や離職票を通じて行われるため、必ず確認しておきましょう。

失業中かつ求職活動をおこなっている
失業保険を受給するためには、失業中かつ、労働の意思と能力があり積極的に就職活動をしている必要があります。
手当の受給中には求職活動をおこなった実績を報告する義務があり、一定回数以上の求職実績が求められます。
ハローワークに求職申請をおこなった
失業保険は退職したら自動でもらえるものではありません。
ハローワークで手続きをおこなう必要があります。
受給できるのは退職後1年間のため、期限までに求職申請をおこなってください。

失業保険の受給できる金額と計算方法
失業保険の支給額は、退職前の給与を基に計算されます。
基本手当日額の算出方法
基本手当日額は、退職前6カ月間の給与の平均額 × 所定の給付率 で算出できます。
給付率は45%~80%のあいだで適用され、給与の額が多いほど給付率は低くなります。
最大給付日数(基本手当の受給期間)
受給期間は、雇用保険の加入期間や離職理由によって異なります。
会社都合退職の場合の受給期間は次のとおりです。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
一方、自己都合退職の場合は90日~150日のあいだで決まります。
- 被保険者期間1年以上10年未満:90日間
- 被保険者期間10年以上20年未満:120日間
- 被保険者期間20年以上:150日間
\ 申請サポートの無料相談はこちら /

失業保険受給手続きの流れと必要な手続き
失業保険を受給するためには、ハローワークでの申請を行い、必要書類を提出した上で、一定の求職活動を継続する必要があります。
以下に、受給手続きの流れと必要な準備を詳しく解説します。
ハローワークでの申請方法と流れ
失業保険を受給するための流れは次のとおりです。
- 離職票を取得する
- ハローワークに出向く
- 必要書類を提出し、申請を行う
- 求職登録を行う
- 受給資格決定と説明会の参加
- 待機期間と給付制限を経て給付が開始される
退職後、元の勤務先から送付される離職票や必要書類を持参し、ハローワークで手続きをおこなってください。
受給資格が認定されると、ハローワークが指定する説明会(雇用保険受給者初回説明会)に参加する必要があります。
申請後7日間の待機期間と1か月の給付制限期間(自己都合退職の場合のみ)を経た後、給付が開始されます。
必要書類一覧
ハローワークに提出が必要な書類は次のとおりです。
- 離職票(離職票1・離職票2)
- 本人確認書類(マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど)
- 振込先銀行口座情報
- 個人番号確認書類
- 雇用保険被保険者証(必要に応じて)
- 写真(3cm×2.5cm)
これらの書類が揃っていないと手続きが進まず、再度ハローワークに足を運ばなくてはいけない可能性があるため、必ず忘れないよう準備しましょう。

受給期間中の求職活動の記録と報告
失業保険を受給するためには、定期的に求職活動を行い、その実績をハローワークに報告する必要があります。
求職活動には次のような行為が含まれます。
- 企業への応募(履歴書・職務経歴書の送付)
- 求人サイトやハローワークを通じた求人応募
- ハローワーク主催のセミナー・相談会への参加
- 転職エージェントとの面談やキャリアカウンセリング
- 資格取得のための講習やセミナー参加(一定条件を満たす場合)
ハローワークによっては、求人への応募履歴や面接通知などの証拠提出を求められる場合もあるため、記録を残しておくと安心でしょう。
なお、虚偽の求職活動報告をおこなうと不正受給と見なされ、受給額の返還命令や罰則が科せられる可能性があるため注意してください。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /
失業保険を受給できないケースと対策
失業保険の受給資格を満たさない場合、生活の安定を確保するために他の支援制度を活用することが重要です。
ここでは、受給できない主なケースとその対策について詳しく解説します。
雇用保険の加入期間が不足している場合
雇用保険に加入していた期間が不足している場合、失業保険を受給することはできません。
しかし、他の公的支援制度を活用することで、一定の補助を受けることが可能です。
制度の種類 | 詳細 |
---|---|
求職者支援制度 | 雇用保険を受給できない方 収入が一定額以下の在職者の方が対象の求職者向け制度 |
地方自治体の生活支援制度 | 自治体によっては無収入者向けの生活支援金や家賃補助食糧支援制度を提供している |
社会福祉協議会の生活福祉資金貸付制度 | 低所得者向けの無利子または低金利の貸付制度 |
雇用保険に加入していなくても利用できる制度はあるため、対象となっていないか確認してみましょう。
退職後すぐに開業した場合
退職後すぐに開業届を提出した場合、ハローワークでは「求職活動を行っていない」と判断され、失業保険の受給資格を失います。開業準備を進める際には、タイミングと手続きを慎重におこなうことが重要です。
開業を検討している場合には、開業届を提出するタイミングを慎重に選び、開業準備を進めつつ、求職活動を継続するとよいでしょう。
また失業保険受給中に開業届を出した場合、再就職手当を受給できる可能性があります。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /
再就職手当とは?フリーランスへの適用と条件
失業手当の受給資格を持つ求職者が、早期に再就職した場合に支給される「再就職手当」は、フリーランスや個人事業主として独立を検討している人にも適用される可能性があります。
仕組みや条件、申請手続きについて詳しく解説します。
再就職手当の概要と目的
再就職手当とは、失業手当の給付残日数が一定の基準を満たしている場合に、早期に再就職した際に支給される手当です。
再就職先が決まった場合に支給され、生活の安定を図ると同時に、失業手当の給付総額を抑える狙いもあります。
フリーランスや個人事業主としての独立も、一定の条件を満たせば再就職とみなされ、再就職手当の対象となることがあります。
これにより、独立時の資金確保を支援し、スムーズな事業開始を可能にします。
個人事業主として開業する場合の適用条件
フリーランスや個人事業主として独立する場合でも、以下の条件を満たすと再就職手当の対象となります。
- 開業後の収入が安定すると見込まれること
- 事業継続の意思があること
- 失業保険の残日数が1/3以上あること
再就職手当は失業手当の給付残日数が1/3以上残っていることが要件です。1/3を切っている場合、再就職手当を受給できません。
また、フリーランスや個人事業主の場合、事業計画書の提出が求められる場合があります。開業後の継続性や収入見込みを明確にすることが重要です。
再就職手当の申請手続きと注意点
再就職手当を受けるには、以下の手続きを進める必要があります。
- ハローワークへ再就職の報告をおこなう
- ハローワークの審査を受ける
- 支給決定後、指定口座に給付金が振り込まれる
開業後に廃業した場合や事業継続が認められない場合は、支給された再就職手当を返還しなければならない可能性があります。
また、不正受給が発覚した場合は、返還命令に加えて罰則が科せられることがあります。
再就職手当の計算方法
再就職手当は、以下の計算式で求められます。
再就職手当=基本手当日額×支給残日数×支給率
支給率は、支給残日数によって異なります。
支給残日数 | 支給率 |
---|---|
所定給付日数の3分の2以上 | 70% |
所定給付日数の3分の1以上、3分の2未満 | 60% |
基本手当日額は、失業手当の計算基準となる額で、原則として「退職前6か月間の平均給与の50~80%」に相当します。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /
失業保険の不安は「退職バンク」で解決!安心して次の一歩へ
退職して個人事業主やフリーランスになろうとしているものの、不安な点が多くて一歩踏み出せない方も少なくありません。
そんな時に頼りになるのが失業保険申請サポート「退職バンク」です。
「退職バンク」なら、失業保険の申請や受給条件についてのアドバイスを受けられるため、安心して次のステップに進むことができるでしょう。
失業保険に関する不安を解消し、ストレスフリーな退職を叶えたい方は、公式サイトをぜひチェックしてみてください。
\最大200万円の失業保険を”最短1か月”で受給/
失業保険のよくある質問
失業保険に関してよくある質問を紹介します。
収入申告を怠るとどうなる?
少額であっても収入が発生した場合は全て申告する必要があります。
収入を正しく申告しなかった場合、後日発覚すると不正受給とみなされ、受給額の返還が求められます。
故意に申告を怠った場合には罰則が科せられることもあるため注意が必要です。
収入があったときや就労したときは速やかに申告しましょう。
受給期間中に求職活動をしないとどうなる?
失業保険の受給資格が停止します。手当の受給には最低でも月2回の求職活動実績を報告することが必要です。
未達成の場合、翌月の支給がおこなわれなくなる可能性があります。
個人事業主で再就職手当がもらえなかったのはなぜ?
失業保険の残支給日数が1/3より少ない場合、再就職手当の受給条件を満たしません。
また、事業の安定性が証明できなかった場合も支給対象外となります。
個人事業主として副業をしながら失業保険はもらえる?
副業をしながら失業保険を受給することは可能ですが、週20時間未満の就労であれば減額されながらも支給されます。
ただし、月12〜13万円以上の収入があると「自営」と判断され、失業保険の受給資格を失う可能性があります。また、副業を申告しないと不正受給とみなされるため注意が必要です。
失業保険をもらいきってからの起業はできる?
可能です。受給期間中は求職活動を続け、失業保険を受け取り終わった後に開業届を提出すれば問題はありません。
失業保険を受け取る場合の開業届を出すタイミングは?
失業保険をもらい終わった後が最も安全です。
通常、開業届けを出したタイミングで「求職活動をする意思はない」と判断され、失業保険の受給資格が停止します。
受給期間中にボランティア活動をしても問題ない?
基本的に問題はありません。ただし、ボランティアの活動時間や内容によっては「就業」とみなされる可能性があるため、事前にハローワークに相談することをおすすめします。
失業保険の受給期間を延長する方法はある?
特別な事情(病気、育児、介護など)がある場合は受給期間の延長が可能です。
ハローワークでの申請が必要となるため、早めに相談することを推奨します。
受給期間終了後に再度失業した場合、再び受給できる?
一定の条件を満たせば可能ですが、新たに雇用保険の加入期間が必要になります。
再就職後、再度6カ月以上の雇用保険加入実績を作ることが条件となります。

受給期間中に海外旅行をしても問題ない?
短期間の海外旅行であれば問題ありません。
ただし、長期の海外旅行をすると、受給資格が一時的に停止される可能性があります。4週間ごとにおこなわれる失業認定日に、2回分の求職活動実績を報告する必要があるためです。
たとえば1か月丸々海外旅行へ出かけていたとなると、「求職活動をおこなっていない」とみなされるでしょう。
長期間の旅行を予定している場合はハローワークに事前相談するか、旅行終了後に失業保険受給の手続きをするのがおすすめです。
まとめ:個人事業主・フリーランスでも失業保険はもらえる
個人事業主やフリーランスでも、失業保険の条件を満たせば問題なく受給できます。
ただし失業保険の受給中に開業届を提出すると、求職活動を行っていると見なされなくなり、失業保険の支給が打ち切られる可能性があります。
受給中は開業の準備をしながら求職活動をおこない、失業保険を満額受給したあとに開業届けを提出すると、受給資格を失わずに済みます。
なお、受給期間中に事業を開始したり就労したことを隠すと、不正受給とみなされるため注意してください。
\ 申請サポートの無料相談はこちら /