再就職手当と失業保険の違い
1. 失業保険（基本手当）とは？
失業保険（基本手当）は、失業した際に生活を支えるための給付金で、ハローワークに求職登録をし、一定の条件を満たせば受給できます。
- 支給条件
- 失業状態であり、求職活動を行っていること
- 離職前の2年間で12カ月以上（倒産・解雇なら1年間で6カ月以上）の雇用保険加入歴がある
- ハローワークで失業認定を受ける
- 支給額
- 離職前の給与の約50～80％
- 支給期間
- 雇用保険の加入期間や離職理由によって90～330日
2. 再就職手当とは？
再就職手当は、失業保険（雇用保険の失業給付）を受給中の求職者が、所定の条件を満たして早期に再就職した場合に支給される給付金です。通常、自己都合退職や解雇で離職し、ハローワークに登録した求職者が対象となります。
支給条件
再就職手当を受給するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- 雇用保険の被保険者期間が1年以上あること
- ハローワークに求職登録をしていること
- 待機期間（7日間）を経過後に就職すること
- 1年以上継続勤務する意思があること
- 再就職先が離職した企業と無関係であること
- 失業保険の支給日数が3分の1以上残っていること
申請方法
- 再就職が決定したらハローワークに相談
- 速やかに報告し、必要書類を確認
- 必要書類の提出
- 「再就職手当支給申請書」
- 「採用証明書」
- 「雇用契約書のコピー」
- 「賃金台帳や給与明細の写し」
- 「離職票（必要に応じて）」
- ハローワークの審査
- 提出書類をもとに支給条件を確認
- 支給決定と振込
- 通常1～2ヶ月以内に支給決定し、指定口座へ振込
提出時の注意点
- 書類の記載ミスがあると手続きが遅れるため、事前に確認
- 直接窓口に持参すると手続きがスムーズ
- 支給対象の企業で1年以上勤務する意思を明記
3. 再就職手当の給付金額と計算方法
再就職手当の支給額は、基本手当日額（失業保険の日額）に未支給分の日数を掛け、一定割合を適用して算出されます。
- 支給割合
- 70%（所定給付日数の3分の2以上残っている場合）
- 60%（所定給付日数の3分の1以上残っている場合）
計算例
- 失業保険の基本手当日額が 5,000円、残り日数が 100日だった場合
- 再就職手当の支給額 = 5,000円 × 100日 × 70% = 350,000円
4. 主な違い
| 項目 | 失業保険（基本手当） | 再就職手当 |
|---|---|---|
| 目的 | 生活支援 | 早期再就職の促進 |
| 支給時期 | 失業中 | 就職後 |
| 支給対象 | 失業者 | 早期再就職者 |
| 支給額 | 月給の50～80% | 失業保険の残り日数に応じた割合 |
| 受給条件 | 失業状態で求職活動を行っていること | 1年以上継続勤務する見込みで再就職すること |
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
再就職手当をもらわない方がいい理由
再就職手当は一見すると魅力的な制度ですが、場合によっては「もらわない方がいい」ケースもあります。
受給しないことで得られるメリット
再就職手当をもらわずに失業保険を継続して受給すると、転職先の条件をじっくり比較できるメリットがあります。急いで就職することで、給与や労働環境に不満があっても、再び離職しにくい状況になる可能性があります。
また、失業保険の受給中は職業訓練や転職支援サービスを無料で利用できるため、キャリアアップを考えている場合は、焦って再就職するよりも慎重に行動する方がよいでしょう。
再就職手当をもらうデメリットとは？
- 給与の低い企業に就職すると長期的に損をする可能性
早期就職によって、月収が以前より低くなってしまうケースでは、失業手当を受け取ってじっくり職探しをした方が収入が安定することも。 - 雇用保険の再加入期間に影響
離職後すぐに再就職すると、次の失業時の雇用保険の加入期間が短くなる可能性がある。 - 再就職後の労働環境が厳しくても辞めづらい
転職先が合わないと感じても、「再就職手当を受け取ったから辞めづらい」という心理的プレッシャーが生まれる。
受給制限や支給期間の影響
- 再就職手当は、基本的に1回しか受給できない。
- 一度支給を受けると、次回の離職時に「過去3年間に再就職手当を受給した場合、再び支給されない」制限がある。
- もし1年以内に転職する可能性がある場合、もらわない方が長期的に得する可能性がある。
退職後の再就職活動のモチベーション維持
失業期間中は、じっくり求職活動をする時間が確保できるため、自分に最適な職場を見つけるチャンスになります。ハローワークだけでなく、転職エージェントの無料相談を活用しながら計画的に活動するのも一つの方法です。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
再就職手当をもらわないケースの最適なプラン
再就職手当をもらわず、より良い条件で転職を成功させるための方法を解説します。
1年間の雇用安定を目指す方法
再就職手当の条件には、「1年以上の継続勤務の意思」 があります。
もし短期間で転職を繰り返している場合や、今後のキャリアが不透明な場合は、失業保険を受給しながら慎重に転職先を選ぶのが賢明です。
- 失業保険の給付期間を活用して職業訓練を受ける
- 転職エージェントを利用し、長期的に働ける職場を探す
- 雇用契約の条件を事前にしっかり確認する
- ハローワークで求人票の詳細情報をチェックする
求職活動の流れと最適な就職タイミング
再就職手当を受け取らずに計画的に求職活動を進めるためのポイントを紹介します。
- 求職登録（ハローワーク or 転職サイト）
- ハローワークで求職票を記入・提出
- 無料の職業相談を活用
- 求人検索と応募
- 転職サイトや企業の公式サイトもチェック
- 業界ごとの雇用動向を分析
- 面接・内定
- 内定後、雇用条件を細かく確認
- 給与や勤務条件、福利厚生をチェック
転職先の企業選びで注意すべきポイント
転職先を決定する際には、以下のポイントに注意しましょう。
- 再雇用の可能性はあるか？
- 契約社員や派遣社員の雇用形態ではないか？
- 給料や賞与が前職よりも良い条件か？
- 定着率が高い職場か？
- ハラスメントがない職場か？
ハローワークの支援を活用する方法
ハローワークには、再就職を支援する制度がいくつかあります。
- 職業訓練制度（無料）
- 再就職支援セミナー
- 面接対策講座
- 適職診断サービス
アルバイト・パート・派遣の就業と影響
再就職手当を受け取らず、アルバイト・パート・派遣の仕事を選ぶ場合、失業保険の給付に影響が出るため注意が必要です。
- 週20時間以上の勤務は「就職」とみなされる
- 雇用保険に加入すると、再就職手当の対象外になる
- 失業給付の支給日数がリセットされる可能性がある
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
こんな場合は再就職手当の受給が最適！
「再就職手当をもらった方が有利なケース」もあります。
早期就職で得する場合の条件
以下の条件を満たす場合、再就職手当の受給が有利になることがあります。
- 転職先の給与が前職よりも高い
- 1年以上の長期雇用が見込める
- 企業の採用決定が早く、安定した収入を得られる
- 家計の都合上、早めに収入を確保したい
再就職手当と自己都合退職の関係
自己都合退職後、転職先がすぐに見つかる場合、再就職手当を利用するのが良い選択となることも。ただし、自己都合退職の場合、給付制限期間（3ヵ月）があるため、早めの就職が必要です。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
受給する？しない？ケース別おすすめプラン
再就職が3年以内の場合の注意点
過去3年以内に失業保険や再就職手当を受給していた場合、新たな受給資格に制限がかかることがあります。短期間での転職を繰り返している場合は、支給要件を満たせない可能性があるため、ハローワークで確認しましょう。
過去の離職履歴が影響するケース
離職票の記載内容や退職理由によっては、再就職手当が支給されないことがあります。例えば、「自己都合退職」として扱われると、待機期間が発生し、その間に再就職が決まると手当を受け取れない可能性があります。一方、解雇や倒産などの「会社都合退職」の場合は、受給条件が異なるため注意が必要です。
被保険者資格と支給日数の関係
再就職後に再び離職する可能性がある場合、次回の雇用保険の被保険者期間に影響が出ることを考慮する必要があります。再就職先で6ヵ月以上働けば、新たな失業保険の受給資格を得られることが多いですが、それ未満で退職すると、次の失業時に給付制限が生じる可能性があります。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
再就職手当と失業保険、どちらを選ぶべきか？
再就職手当を受給するか、それとも失業保険を継続するか迷う方は多いです。
早期就職が決まっているなら「再就職手当」
- すぐに安定した仕事が見つかる場合、手当を受けることでお得
- 支給金額が一括で受け取れるため、当面の生活費を確保しやすい
- 早期就職促進の観点から、再就職のモチベーションが向上する
長期的な視点で考えるなら「失業保険」
- じっくりと転職活動を行うことで、より良い条件の仕事を探せる
- 雇用保険の受給期間をフル活用できる
- 職業訓練や転職支援制度を活用し、スキルアップできる
選択の基準
- 早く働きたい → 再就職手当
- 良い条件でじっくり転職したい → 失業保険
再就職がすぐに決まらないなら、焦らずに失業保険を受給しましょう。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
受給に関するよくある悩みと回答
Q.「受給を辞退すると損する？」
A. 再就職手当を辞退することが、必ずしも損につながるわけではありません。再就職先の給与や雇用形態、長期的なキャリアプランによっては、失業保険の給付を継続したほうが得策となる場合もあります。例えば、給与が低い企業に早期就職してしまうと、長期的な収入に影響を及ぼす可能性があります。
Q.「給付金をもらわない方が長期的に得？」
A. 再就職手当の受給は、一時的な収入を増やすメリットがありますが、長期的に考えると転職活動をじっくり行うことでより良い条件の企業に就職できる可能性があります。特に、求職活動を通じて年収アップを目指す場合は、焦らず転職先を選ぶことが重要です。
Q.「支給額はどのように決定される？」
A. 再就職手当の支給額は、基本手当日額（失業保険の日額）と所定給付日数の残りによって決まります。支給率は以下のとおりです。
- 給付日数の3分の2以上残っている場合：基本手当日額 × 残り日数 × 70%
- 給付日数の3分の1以上残っている場合：基本手当日額 × 残り日数 × 60%
Q.「離職から一定期間が経過しても受け取れる？」
A. 再就職手当は、失業保険の受給期間内であれば申請可能ですが、支給対象となるためには、離職後できるだけ早く就職することが求められます。一般的には、離職後1年間以内に就職することが必要条件となります。詳細については、ハローワークに相談し、個別のケースを確認することをおすすめします。
Q.「再就職手当を満額もらうにはどうすればいい？」
再就職手当を満額（支給率70%）もらうには、失業保険の所定給付日数の3分の2以上が残っている状態で再就職する必要があります。そのため、早期に就職を決めることが重要です。また、1年以上継続して働く見込みがある企業に就職し、ハローワークを通じて申請することも条件となります。
Q.「再就職手当で100万もらえる？」
再就職手当で100万円を受け取るには、基本手当日額と残り給付日数が条件を満たす必要があります。例えば、基本手当日額が5,000円で残り日数が286日以上（支給率70%適用）なら、5,000円 × 286日 × 70% = 約100万円となります。詳細はハローワークで確認しましょう。
Q.「再就職手当の審査が厳しいのは本当？」
再就職手当の審査は厳格ですが、適正な条件を満たせば問題なく支給されます。特に1年以上の継続勤務の見込みや失業保険の残日数、離職した企業と関係のない就職先であることなどが厳しくチェックされます。不備があると支給されないため、事前にハローワークで確認するのが安心です。
Q.「自分で仕事を見つけたときでも再就職手当はもらえる？」
自分で仕事を見つけた場合でも再就職手当はもらえます。 ただし、ハローワークや職業紹介事業者を通じて求職活動を行い、就職前に相談・報告することが必要です。独自に就職先を決めても、事前にハローワークへ届け出ておけば支給対象になります。
Q.「再就職手当で審査落ちする理由は？」
再就職手当の審査に落ちる主な理由は以下の通りです。
- 再就職先が離職した会社と関係がある（関連会社・元の職場への復職など）
- 1年以上の継続勤務の見込みがない（短期・試用期間のみの契約など）
- 失業保険の給付日数が3分の1未満しか残っていない
- 待機期間（7日間）を経ずに就職した
- ハローワークへの事前報告・申請が不適切だった
申請前に条件を確認し、ハローワークで相談すると安心です。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
再就職手当を受給する際のよくあるトラブルと対策
再就職手当の申請では、意外なトラブルが発生することがあります。
ここでは、実際に多くの求職者が直面する問題と、その解決方法を紹介します。
再就職手当が支給されないケース
以下のような場合、支給されないことがあります。
- 就職先が「前職と関係のある企業」だった
- 前職の関連企業に就職すると、ハローワークの審査で却下されることがある。
- 支給申請を忘れてしまった
- 再就職が決まっても、申請を怠ると支給対象外となる。
- 1年未満で離職してしまった
- 支給決定後、1年未満で退職した場合、一部のケースで支給を取り消される可能性がある。
雇用契約が「常用雇用」に該当しない場合
再就職手当の支給対象となるには、「常用雇用」としての勤務が求められます。
ただし、以下のような雇用形態では支給対象外となる可能性があります。
- 契約社員・派遣社員で「契約期間が6ヶ月未満」の場合
- パート・アルバイトなどの非正規雇用
- 試用期間のみの雇用契約の場合
受給資格の誤解による問題
ハローワークでの説明を誤解し、支給要件を満たしていると思い込んでしまうケースがあります。
不明点があれば、ハローワークの窓口で具体的に相談することが重要です。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
まとめ：最適な選択肢を選ぶために
再就職手当を受給するかどうかは、個々の状況によって慎重に判断する必要があります。短期的な金銭的メリットと、長期的なキャリア形成を考慮し、自分にとって最適な選択を行いましょう。
まず、再就職手当を受給するメリットとして、早期の再就職を促進し、一括でまとまったお金を受け取ることができる点が挙げられます。生活費の確保や転職活動の安定にもつながります。しかし、一方で短期間での転職を強いられることで、本来望んでいたキャリアプランが十分に練れない可能性もあります。
また、失業保険を継続する場合、一定期間の生活費を確保しながらじっくりと求人を探すことが可能になります。特に年収や福利厚生の条件を重視する場合は、焦らず慎重に転職活動を行うことが重要です。加えて、ハローワークの職業訓練制度や無料の転職支援サービスを活用することで、スキルアップを目指すこともできます。
再就職手当を受給する場合も、しない場合も、いずれにせよ、適切な情報収集が鍵となります。ハローワークや転職エージェントを活用し、企業の採用条件や求人市場の動向を把握することが大切です。自分のキャリアを長期的に見据えた最適な選択をしましょう。
＼ 申請サポートの無料相談はこちら ／
