病気や家族の介護といった、やむを得ない事情で退職を考えているものの、その後の生活に経済的な不安を感じている方も多いでしょう。
自己都合として扱われ、不利な条件で失業保険を受け取ることになるのではないかという懸念もあるかもしれません。
結論として、正当な理由があれば「特定理由離職者」と認定され、自己都合退職よりも手厚い失業保険を受け取ることが可能です。
この記事では、特定理由離職者と判定されるための具体的な条件やメリット、そして混同しやすい「特定受給資格者」や「区分1・2」との違いについて詳しく解説します。
自身の状況が制度に当てはまるかをわかるようになり、不安なく次のステップへ進むために、ぜひ参考にしてください。
特定理由離職者の
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特定理由離職者とは自己都合退職より手厚い失業保険が受けられる制度
やむを得ない事情で退職を考えたときに知っておきたいのが、「特定理由離職者」という制度です。
この制度に認定されると、自己都合退職に比べて失業保険(雇用保険の基本手当)を手厚く受け取れる可能性があります。
退職後の経済的な不安を和らげ、安心して次のステップに進むための大切なセーフティネットとなるでしょう。
ここでは、特定理由離職者の具体的なメリットや、自己都合退職との違い、そしてこの制度がなぜ設けられているのかについて詳しく解説します。
失業保険が早く・長くもらえる2つのメリット
特定理由離職者と認定されることには、経済的な不安を大きく和らげる2つのメリットがあります。
1つ目は、失業保険を早く受け取れる点です。自己都合退職の場合、通常1か月から3か月の給付制限期間がありますが、特定理由離職者にはこれが適用されません。
申請後の待期期間7日間を終えれば、すぐに給付が開始されるため、収入のない期間を最小限に抑えることが可能です。
2つ目のメリットは、給付日数が長くなる可能性があることです。
自己都合退職に比べて所定給付日数が手厚く設定されており、経済的な余裕を持って再就職活動に専念できます。
この2つのメリットは、退職後の生活を支える上で非常に重要です。

特定理由離職者と自己都合退職の違い
特定理由離職者、特定受給資格者、そして自己都合退職の最も大きな違いは、離職理由の「正当性」や「会社の都合」が認められるかどうかです。
以下の表で、それぞれの違いを確認します。
項目 | 自己都合退職 | 特定理由離職者 | 特定受給資格者 |
---|---|---|---|
給付制限 | あり(2〜3か月) | なし | なし |
給付日数 | 比較的短い | 優遇される | 優遇される |
国保の軽減 | なし | あり | あり |
主な離職理由 | 個人的な事情 | 病気、介護、通勤困難 | 倒産、解雇 |
このように、客観的に見てやむを得ないと判断される事情で離職した場合が特定理由離職者に該当し、受けられる支援に大きな差が生まれます。

なぜ特定理由離職者は優遇されるのか
特定理由離職者制度が設けられている背景には、労働者を保護し、円滑な再就職を支援するという国の目的があります。
病気や家庭の事情といった、本人の意思だけでは避けられない不可抗力な理由でキャリアが中断してしまった場合、経済的な基盤が揺らぎ、再就職活動もままならなくなることがあるかもしれません。
こうした状況に陥った労働者に対し、手厚い失業保険というセーフティネットを提供することで、生活の安定を図ります。
そして、焦らずに治療や休養、自分に合った仕事探しに専念できる環境を整えることが、この制度の重要な役割です。
これは、離職を余儀なくされた労働者のための正当な権利と言えるでしょう。
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【判定基準】特定理由離職者に該当するか3つのケースで確認
自身の状況が特定理由離職者に当てはまるかどうか、気になっている方も多いでしょう。
ここでは、どのようなケースが「正当な理由」として認められるのか、代表的な3つのパターンに分けて具体的に解説します。
自身の状況と照らし合わせながら、確認してください。
病気やケガ、心身の障害で退職した場合
病気やケガ、あるいは心身の障害によって、これまでの業務を続けることが困難になった場合は、特定理由離職者に該当する可能性があります。
重要なのは、その事実を客観的に証明することです。そのため、医師による診断書が原則として必要です。
ハローワークに提出する診断書には、病名や症状に加え、それによって業務の継続が困難である旨を記載してもらうことが大切です。
もし診断書がない場合でも諦める必要はありませんが、認定のハードルは上がります。
また、単なる「体力の不足」であっても、客観的な事実に基づき、業務に支障が出ていると判断されれば認められるケースもあります。
親族の介護など家庭の事情で退職した場合
家族の状況が急変し、介護のため離職せざるを得ない場合も、特定理由離職者として認められることがあります。
この場合の条件として、対象となる親族の範囲は配偶者や6親等内の血族、3親等内の姻族と定められており、その親族が常時本人の介護を必要とする状態であることが求められます。
この状況を証明するためには、介護が必要な方の状態を示す医師の診断書や、公的な介護サービスの利用証明書などの書類が必要です。
また、妊娠や出産、3歳未満の乳幼児の育児といった理由で退職した場合も、周囲のサポートが得られないなど、やむを得ないと判断されれば対象となる可能性があります。
通勤困難を理由に退職した場合
結婚に伴う引っ越しや、配偶者の転勤への帯同、あるいは会社の事業所が遠方に移転したことなどが原因で、通勤が困難になった場合も正当な離職理由と見なされます。
通勤困難と判断される一般的な目安として、往復の通勤時間がおおむね4時間以上かかる場合が挙げられます。
ただし、これは絶対的な基準ではなく、個人の健康状態や電車の乗り換え回数といった個別の事情も総合的に考慮されて判断されるものです。
この理由を証明するためには、転居前後の住所がわかる住民票や、会社の移転を証明する会社の通知書など、客観的な資料の提出が必要です。
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特定理由離職者1と2の違いは契約期間の満了が関わるかどうか
特定理由離職者は、その離職理由によって「区分1」と「区分2」の2種類に分けられます。
この違いは少し複雑に感じるかもしれませんが、自身がどちらに該当する可能性があるのかを把握しておくことは大切です。
ここでは、それぞれの区分の内容と、よく混同されがちな「特定受給資格者」との違いについて解説します。
雇い止めなどが該当する特定理由離職者(区分1)
特定理由離職者のうち「区分1」に該当するのは、主に期間の定めのある労働契約で働いていた方が対象です。
具体的には、契約期間が満了し、本人が契約の更新を希望していたにもかかわらず、会社側との合意に至らずに離職した場合、いわゆる「雇い止め」がこれにあたります。
この認定を受けるためには、契約更新を希望していたことを客観的に示すことが重要です。
たとえば、契約更新に関する面談の記録や、会社に意向を伝えたメールなどが証拠として役立つ場合があります。
有期雇用で働いていて、更新されずに退職となる方は、この区分に該当するかどうかを確認します。
病気や介護などが該当する特定理由離職者(区分2)
特定理由離職者の「区分2」は、区分1以外の正当な理由がある自己都合退職が対象です。
具体的には、これまで解説してきた「病気やケガ、心身の障害」「親族の介護」「通勤困難」といった、やむを得ない事情で離職したケースがこちらに分類されます。
一般的に多くの方が「特定理由離職者」と聞いてイメージするのは、この区分2に該当するケースでしょう。
自身の意思に反して退職せざるを得なかった状況を、客観的な資料とともにハローワークで説明することで、この区分での認定を目指すことになります。
給付条件は区分1と区分2で基本的には同じです。

解雇や倒産が該当する特定受給資格者との違い
特定理由離職者とよく似た制度に「特定受給資格者」があります。両者の最も大きな違いは、離職理由が本人の事情か、会社の都合かという点です。
特定受給資格者は、会社の倒産や解雇、退職勧奨といった、完全に会社の都合によって離職を余儀なくされた方が対象です。
失業保険の給付日数などの面では、特定受給資格者の方が特定理由離職者よりも手厚く設定されているケースが多いです。
自身の離職理由が会社の都合によるものだと考えられる場合は、特定受給資格者に該当する可能性もあります。
判断に迷う場合は、ハローワークや専門家に相談することをおすすめします。
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特定理由離職者の認定を受けるにはハローワークでの手続きが必要
特定理由離職者として認定されるためには、自身の住所地を管轄するハローワークで失業保険の申請手続きをおこなう必要があります。
書類の準備や手続きの流れを事前に把握しておくことで、スムーズに申請を進めることができます。
ここからは、申請から受給までの具体的なステップと、とくに重要となるポイントについて解説します。
申請から受給までの4ステップ
失業保険の申請から受給までの手続きは、以下の図のように大きく分けて4つのステップで進みます。
全体の流れをあらかじめ理解しておくと、見通しを持って手続きに臨めるでしょう。
申請から受給までの流れ
- ハローワークで求職申し込み・受給資格決定
- 待期期間(7日間)
- 失業認定日にハローワークへ
- 給付金の振り込み
はじめにハローワークで手続きをおこない、7日間の待期期間を経て、その後は原則4週間に1度の失業認定を受けることで、給付金が振り込まれるという流れです。
必ず準備すべき必要書類一覧
ハローワークでの手続きには、以下の表にまとめた書類が必要です。
手続きに必要な書類リスト
分類 | 具体的な書類名 |
---|---|
全員が必ず準備するもの | ・雇用保険被保険者離職票(-1、-2) ・雇用保険被保険者証 ・マイナンバー確認書類 ・身元確認書類 ・証明写真2枚(縦3.0cm×横2.5cm) ・本人名義の預金通帳またはカード ・印鑑 |
状況に応じて準備する | 【病気/ケガの場合】医師の診断書 |
証明資料(例) | 【介護の場合】介護の事実を証明する書類 【通勤困難の場合】住民票や会社の移転通知など |
とくに重要なのが、退職した会社から受け取る「雇用保険被保険者離職票(-1、-2)」です。事前に十分に準備しておくことで、当日の手続きを円滑に進めることができます。
離職理由を証明するための資料が必要
特定理由離職者の認定を受ける上で、最も重要なのが「離職理由を客観的に証明すること」です。
その判断の基礎となるのが、会社から発行される離職票の離職理由欄です。
もし、会社が記載した理由に納得がいかない場合は、離職票の「具体的事情記載欄(離職者用)」に自身の見解を記入し、異議を申し立てることができます。
さらに、その主張を裏付けるための客観的な証拠資料を準備することが不可欠です。
病気が理由であれば医師の診断書、介護が理由であればその事実を証明する公的な書類など、離職理由に応じた資料を揃えてハローワークに提出します。
これが、正当な権利を主張するための鍵です。
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複雑な手続きを専門家に任せて最短で満額受給を目指す方法
ここまで解説してきたように、特定理由離職者の認定を受けるには、専門的な知識や煩雑な書類準備が必要です。
「自身のケースで本当に認定されるのか不安」「忙しくて手続きの準備をする時間がない」と感じる方も少なくないでしょう。
そのような場合には、専門家のサポートを活用するという選択肢を考えることをおすすめします。
なぜ専門家のサポートがおすすめなのか
失業保険の申請を専門家に相談することには、時間、精神、そして金銭的な面で大きなメリットがあります。
まず、煩雑な書類の準備やハローワークとのやり取りに関する的確なアドバイスを受けることで、手続きにかかる時間を大幅に短縮できます。
これにより、本来集中すべき治療や休養、あるいは転職活動に専念できるでしょう。
また、「これで本当に大丈夫だろうか」という精神的な不安から解放される点も大きなメリットです。
さらに、専門的な知識に基づいて申請を進めることで、本来もらえるはずだった給付金をもらい損ねるというリスクを避け、受給額の最大化を目指すことが可能です。
退職後の不安に寄り添う「退職バンク」とは
退職後の手続きに不安を感じる方に頼れるサービスとして「退職バンク」があります。
これは、複雑な失業保険の申請手続きを、社会保険労務士が監修した専門的なノウハウで徹底的にサポートしてくれるサービスです。
これまでの実績では、多くの方が最短1か月で受給を開始し、受給額の最大化を実現します。
全国どこに住んでいても、オンラインでの相談や手続きサポートが可能なため、場所を選ばずに利用できる点も大きな魅力です。
専門家による的確なサポートを受けることで、退職後の経済的な不安を解消し、安心して次のキャリアへ進むための大きな助けになります。
まずは無料診断で受給額を確認
サービスを利用するかどうかはまだわからない方でも、まずは自身の状況で失業保険がいくらもらえる可能性があるのかをわかるようにしておくことが大切です。
「退職バンク」では、LINEを使用して簡単に受給額の目安がわかる無料診断を実施します。
いつから、いくら、どのくらいの期間もらえるのかという具体的な見通しが立つだけで、退職後の生活設計は格段に立てやすくなります。
相談は無料のため、まずは自身の可能性を探る第一歩として、この無料診断を活用してください。不安を解消するきっかけになるでしょう。
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特定理由離職者に関するよくある質問
ここでは、特定理由離職者に関して多くの方が抱く疑問について、Q&A形式で回答します。
自身の状況に近い質問があれば、ぜひ参考にしてください。
うつ病などの精神的な理由でも対象になりますか
うつ病などの精神的な不調を理由に離職した場合でも、特定理由離職者として認められる可能性は十分にあります。
重要なのは、医師の診断書などによって、その病気が原因で就労を続けることが困難であったと客観的に証明できることです。
精神的な不調は、外見からは分かりにくく、本人にしかわからない辛さがあります。
だからこそ、専門家である医師による「就労困難」であるという診断が、ハローワークで判断する際の重要な根拠です。
まずは主治医に相談し、診断書の発行をお願いすることからはじめてください。
パートやアルバイトでも特定理由離職者になれますか
パートやアルバイトといった雇用形態にかかわらず、特定理由離職者になることは可能です。
ただし、そのためには雇用保険の加入条件を満たしている必要があります。
原則として、離職日以前2年間に、雇用保険の被保険者期間が通算して12か月以上あることが求められます。
しかし、特定理由離職者や特定受給資格者の場合はこの条件が緩和されます。
離職日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上あれば、受給資格を得ることが可能です。
この条件緩和は、非正規雇用で働く方々にとっても大きなセーフティネットです。
不正受給のリスクと注意点
失業保険は、失業中の生活を支えるための大切な公的制度です。
そのため、事実と異なる申請をおこなって給付金を受け取る「不正受給」には、非常に厳しいペナルティが科せられます。不正受給は絶対におこなわないでください。
もし不正受給が発覚した場合、それまでに受け取った給付金の全額を返還するだけでなく、その最大2倍に相当する金額の納付を命じられることがあります。
いわゆる「3倍返し」です。悪質なケースでは詐欺罪として刑事告発される可能性もゼロではありません。
制度の趣旨を正しく理解し、正直に申請することが何よりも重要です。
まとめ:特定理由離職者制度を正しく理解し安心して次のステップへ
この記事では、特定理由離職者の定義から、認定されるための具体的なケース、手続きの方法、そして関連制度との違いについて詳しく解説しました。
やむを得ない事情で離職した方は、この制度を活用することで、失業保険を有利な条件で受給できる可能性があります。
重要なのは、自身の状況を客観的な資料で証明し、正しく手続きをおこなうことです。もし手続きに不安があれば、「退職バンク」のような専門家のサポートを頼ることも有効な選択肢です。
まずは無料診断で、自身の可能性を確認することからはじめてください。
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