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退職後の給付金は全部もらおう!退職給付金の一覧・条件を徹底解説!

退職後の生活において、経済的な安定を確保することは非常に重要です。特に、収入が途絶えた際に利用できる給付金や支援制度を知っておくことで、安心して次のステップへ進むことができます。

本記事では、退職後に受け取れるさまざまな給付金について、種類や申請方法、受給条件を詳しく解説します。失業保険だけでなく、特例給付金や再就職を支援する制度についても網羅し、退職後の選択肢を広げるための情報を提供します。ぜひ、最後までご覧いただき、最大限に活用できる制度を見つけましょう。

目次

失業保険(失業手当)

失業保険の基本概要

失失業保険(正式名称:雇用保険の基本手当)は、労働者が会社を退職した後、新たな仕事を見つけるまでの期間に、生活費を支援するために支給される給付金です。この制度は、国が雇用の安定を図る目的で設けたものであり、退職後の収入が途絶えた人が、次の仕事を探すための時間と余裕を確保するためのものです。

雇用保険は、働いている間に給与から自動的に天引きされる形で保険料が支払われており、一定の条件を満たすことで、退職後に失業保険の給付を受けることができます。会社員や契約社員、派遣社員などの多くの労働者が対象ですが、個人事業主やフリーランスは対象外となるため注意が必要です。

受給条件と対象者

失業保険を受け取るためには、以下の条件を満たす必要があります。

  1. 雇用保険の加入期間
    • 一般的には、離職前の2年間で通算12か月以上、雇用保険に加入していることが必要です。
    • ただし、会社都合退職(解雇・倒産・契約更新なしなど)の場合は、直近1年間で6か月以上の雇用保険加入で受給資格を得られます。
  2. 就職する意思と能力があること
    • 失業保険は「再就職を支援するための給付金」であるため、受給者は仕事を探す意思と能力があることを証明する必要があります。
    • そのため、病気やケガ、出産などで働くことができない場合は受給資格がありません。
  3. ハローワークでの求職活動
    • 失業保険を受け取るには、ハローワークで求職の申し込みをし、定期的に求職活動の報告を行う必要があります。
    • 求職活動として認められるのは、求人への応募、企業説明会への参加、ハローワークでの職業相談などです。
  4. 離職理由による違い
    • 自己都合退職(自分の意思で退職した場合)は、3か月の給付制限期間があり、すぐには受け取れません。
    • 会社都合退職(会社の倒産や解雇、契約満了など)は、待機期間を経てすぐに受給開始できます。

受給金額の計算方法

失業保険の給付額は、離職前の賃金によって決まります。計算方法は以下の通りです。

  1. 基本手当日額の算出
    • 退職前6か月間の給与を平均し、その50%~80%が支給額になります。
    • 月収が高い人ほど給付率は低く、月収が低い人ほど給付率が高くなります。
  2. 年齢による上限
    • 失業保険には年齢ごとに支給上限額が設けられています。たとえば、2024年時点での支給上限額は、60歳未満の場合 日額8,625円(※改定の可能性あり)など、年齢によって異なります。
  3. 具体例
    • 例えば、退職前の月収が30万円だった場合:
      • 6か月間の給与合計:30万円 × 6 = 180万円
      • 平均賃金:180万円 ÷ 180日 = 1万円
      • 給付率が60%の場合、基本手当日額 = 1万円 × 60% = 6,000円
      • これが支給日数分、受け取ることができます。

受給期間と手続きの流れ

失業保険を受給できる期間は、雇用保険の加入期間と退職理由によって異なります。

雇用保険の加入期間自己都合退職(一般)会社都合退職(特定受給資格者)
1年未満対象外90日
1年以上5年未満90日90~120日
5年以上10年未満120日120~180日
10年以上20年未満150日180~240日
20年以上180日240~330日

手続きの流れ:

  1. 退職後すぐにハローワークで求職申請
    • 退職証明書、雇用保険被保険者証、離職票、身分証明書などを提出。
  2. 7日間の待機期間
    • 退職後、最初の7日間は無給の待機期間となり、その間に仕事が決まると失業保険は受け取れません。
  3. 失業認定の受け取り
    • 待機期間終了後、ハローワークの指示に従い、定期的に求職活動を行い、報告する。
  4. 給付開始
    • 会社都合退職はすぐに支給開始、自己都合退職の場合は3か月後から支給開始。

再就職手当(就職促進給付金)

再就職手当の概要

再就職手当とは、失業保険(基本手当)を受給している人が、失業保険の受給期間中に早期に再就職した場合に支給される給付金です。この手当は、できるだけ早く再就職することを促進するために設けられています。

失業保険は、離職後に新しい仕事を探している間の生活を支援するための制度ですが、早期に再就職すれば、失業手当の残りの給付金を受け取らずに済むことになります。その代わりに、早期に就職した人に対して「再就職手当」という形で、残りの給付金の一部が支給されるのです。

受給条件と対象者

再就職手当を受け取るためには、以下の6つの条件を満たす必要があります。

失業保険の受給資格がある

  • 失業保険(基本手当)の受給資格を持っていることが前提となります。
  • そのため、雇用保険に加入していた期間が通算12か月以上ある ことが必要です。

失業保険の給付日数が残っている

  • 所定給付日数の3分の1以上が残っている ことが必要です。
  • 例えば、90日間の失業保険給付が決まっていた場合、残り日数が30日以上ある ことが条件になります。

再就職先が「安定した職業」である

  • 1年以上継続して雇用される見込み のある仕事に就職することが必要です。
  • 具体的には、以下のような雇用形態が対象になります:
    • 正社員
    • 契約社員(1年以上の契約)
    • 派遣社員(1年以上の契約)
  • ただし、期間が1年未満の短期契約だったり、雇用期間が不確定な場合は対象外になる可能性があります。

失業認定を受けた後に就職が決まる

  • 失業保険の受給資格を取得し、最低1回以上の失業認定を受けていることが条件です。
  • つまり、失業保険の申請をせずにすぐに再就職した場合は、再就職手当の対象外となります。

ハローワークまたは職業紹介事業者の紹介で就職する

  • ハローワークや厚生労働省の許可を受けた職業紹介事業者(転職エージェント)を通じて再就職した場合、受給対象となります。
  • ただし、自己応募(求人サイト経由や知人の紹介で応募した場合)でも、条件を満たせば受給可能です。

以前の職場への再就職ではない

  • 以前の勤務先に再就職する場合は、再就職手当の対象外となります。
  • 例えば、同じ会社で一度退職し、数か月後に再雇用された場合は対象になりません。

受給金額の計算方法

再就職手当の金額は、失業手当の「未支給分」の最大70%(または60%) で計算されます。

再就職が所定給付日数の2分の1以上残っている場合

  • 支給額:失業手当の残り日数 × 70%
    • 所定給付日数が90日で、再就職時に60日以上残っていた場合
    • 1日あたりの失業手当が5,000円なら
    • 5,000円 × 60日 × 70% = 21万円 を受給できる

再就職が所定給付日数の3分の1以上、2分の1未満の場合

  • 支給額:失業手当の残り日数 × 60%
    • 所定給付日数が90日で、再就職時に30日以上60日未満残っていた場合
    • 1日あたりの失業手当が5,000円なら
    • 5,000円 × 45日 × 60% = 13.5万円 を受給できる

申請手続きの流れ

再就職手当を受給するには、再就職後すぐにハローワークで申請を行う必要があります

申請期限

  • 再就職した日の翌日から1か月以内 に申請しなければなりません。

必要書類

  1. 再就職手当支給申請書(ハローワークで受け取る)
  2. 再就職先の雇用証明書
    • 再就職先の会社に記入してもらう書類
  3. 雇用契約書または採用通知書
    • 雇用期間や給与が記載された書類
  4. 給与明細書
    • 初回の給与が支払われたことを証明するため
  5. 雇用保険受給資格者証
    • 失業保険の受給資格を持っている証明
  6. マイナンバーカードまたは本人確認書類
    • 免許証、健康保険証などでも可

申請から支給までの流れ

  1. ハローワークで申請書類を受け取る
  2. 必要書類を準備し、ハローワークに提出
  3. 審査完了後、支給決定の通知が届く
  4. 指定口座に再就職手当が振り込まれる
    • 申請から約1か月で支給されるのが一般的 ですが、審査状況によっては遅れる場合もあります。

求職者支援制度と職業訓練受講給付金

求職者支援制度の概要

求職者支援制度は、次の2つの支援を組み合わせたものです。

  1. 無料の職業訓練の提供
    • 専門的なスキルや資格を身につけるために、国が認定した職業訓練コースを無料で受講できます。
    • 訓練内容は、IT・プログラミング、介護、医療事務、簿記、営業スキル、工場・製造業向け技術など幅広い分野 があります。
  2. 職業訓練受講給付金(月10万円)の支給
    • 一定の条件を満たした人 には、訓練期間中の生活費として毎月10万円が支給されます。
    • さらに、訓練先までの交通費(通学費)も支給される場合があります。

この制度は、特に雇用保険に未加入の人や、雇用保険の受給資格がない人にとって、新しいスキルを習得し、安定した仕事を得るための大きな助けになります。

受給条件と対象者

職業訓練を受講できる対象者

求職者支援制度を利用できるのは、次のような人です。

  • 雇用保険(失業保険)の受給資格がない人
  • 失業保険を受給できる期間が終了してしまった人
  • 現在仕事をしていないが、早く就職したい意思がある人
  • 会社を辞めたばかりで、まだ失業保険を受給できない人
  • フリーター、主婦、学生などで、新たにスキルを身につけて就職を目指す人

職業訓練受講給付金(月10万円)を受け取れる条件

職業訓練受講給付金(月10万円)を受け取るためには、以下の条件をすべて満たす必要があります。

  1. 本人の収入が 月8万円以下 であること
    • パートやアルバイトをしていても、月収8万円を超えると支給対象外になります。
  2. 世帯全体の収入が 月25万円以下 であること
    • たとえば、夫婦で世帯収入が26万円以上ある場合、給付金は受け取れません。
  3. 世帯全体の預貯金が 300万円以下 であること
    • 生活に困っていない人には支給されません。
  4. ハローワークで 求職活動を継続的に行うこと
    • 失業保険と同様に、毎月2回以上の求職活動を行い、報告することが必須 です。
  5. 訓練を 休まず受講すること
    • 訓練に8割以上出席 していないと給付金が支給されません。
  6. 世帯の中で 過去にこの給付金を受け取った人がいないこと
    • 同じ家族の中で、過去に給付金をもらった人がいる場合、支給されません。

職業訓練受講給付金の内容

職業訓練を受講することで、以下の支援を受けることができます。

支援内容詳細
訓練費無料で職業訓練を受けられる(教材費は自己負担の場合あり)
職業訓練受講給付金月10万円 が支給される(条件あり)
通学のための交通費訓練校までの交通費が支給される(上限あり)

職業訓練の種類には、以下のようなものがあります。

短期間で就職を目指せるコース

  • パソコン基礎(Word・Excel・PowerPoint)
  • 簿記・経理事務
  • 介護・福祉関連
  • 医療事務
  • 営業・接客スキル

専門的なスキルを身につけるコース

  • IT・プログラミング(Java、Python、Web開発)
  • デザイン・動画編集
  • 自動車整備・機械メンテナンス
  • 建築・大工技術

申請方法と手続きの流れ

  1. ハローワークで相談・申し込み
  • まずは 最寄りのハローワークに行き、職業訓練を受けたいことを相談 します。
  • どの職業訓練コースが自分に合っているか、相談員と一緒に決めます。

2. 受講申込書を提出

  • 希望する訓練コースの申込書 を記入し、ハローワークに提出します。
  • 申し込みには、身分証明書(運転免許証・マイナンバーカードなど) が必要です。

3. 受講前の選考(面接や試験)

  • 一部の訓練校では、受講前に面接や筆記試験がある場合があります。
  • 適性試験に合格しないと、訓練を受講できないこともあります。

4. 受講決定・訓練開始

  • 受講が決まったら、指定の開始日から職業訓練がスタートします。
  • 訓練期間中は 出席率8割以上 を守る必要があります。

5. 受講中の求職活動

訓練を受けながら、ハローワークで月2回以上の求職活動を行い、報告しなければなりません。

6. 訓練終了後の就職活動

訓練終了後は、学んだスキルを活かして就職活動を行います。

傷病手当金

傷病手当金の概要

傷病手当金は、病気やケガで働けなくなったときに支給される給付金で、働く人の生活を守るための制度です。

たとえば、「突然の病気や事故で入院した」「長期間療養が必要になった」「体調が悪く、医師から仕事を休むように言われた」といった場合、収入がなくなると生活が困難になります。
このようなとき、傷病手当金を受け取ることで、一定の生活費を補うことができます

また、傷病手当金は 健康保険(社会保険)の制度であり、雇用保険の失業手当とは異なるため注意が必要です。

受給条件と対象者

傷病手当金を受け取るには、以下の4つの条件をすべて満たしていることが必要です。

1. 健康保険(社会保険)に加入している

  • 傷病手当金は、健康保険(社会保険)に加入している会社員や公務員などが対象 となります。
  • 国民健康保険に加入している人(自営業・フリーランス・専業主婦など)は対象外 です。

2. 病気やケガで仕事を休んでいる

  • 業務外(仕事とは関係のない)病気やケガで休職する場合に適用 されます。
  • 労災(仕事中や通勤中のケガ)による休業は、労災保険の給付があるため対象外 です。
  • たとえば、以下のような場合に適用されます。
    • 病気(うつ病、がん、糖尿病など)で長期間の療養が必要
    • プライベートでの事故やケガ(骨折、交通事故など)で入院や自宅療養が必要

3. 連続する3日間を含み、4日以上仕事を休んでいる

  • 傷病手当金は、連続して3日間の待機期間(給与が支払われない期間)を経過した 4日目以降 から支給されます。
  • 待機期間中の3日間は無給 ですが、会社が独自に休業補償を出す場合もあります。

4. 休業中に給与が支払われていない

  • 休職中も会社から給与が出ている場合は、傷病手当金は支給されません。
  • ただし、給与の支払いが一部(傷病手当金より少ない額)の場合は、差額分が支給されることがあります。

受給金額の計算方法

傷病手当金の金額は、過去の給与額をもとに計算されます

1. 1日あたりの傷病手当金の計算式

  • 支給額 =(直近12か月の平均月収 ÷ 30日)× 2/3
  • 過去1年間の給与の平均額を基に計算し、その**約2/3(67%)**が1日あたりの支給額となります。

2. 傷病手当金の支給期間

  • 最長1年6か月間(支給開始日から計算) 受給できます。
  • 途中で仕事復帰しても、再び同じ病気で休職した場合は、通算1年6か月まで受給可能。

申請手続きの流れ

傷病手当金を受け取るためには、必要な書類を揃え、会社や健康保険組合へ申請する必要があります。

申請期限

  • 病気やケガで仕事を休んだ日から2年以内 に申請しなければなりません。

申請に必要な書類

傷病手当金の申請には、以下の書類が必要です。

  1. 傷病手当金支給申請書
    • 健康保険の加入先(協会けんぽ、健康保険組合)で書類を入手。
    • 申請書には3つの記入欄がある ので、それぞれ記入・提出する。
      • 本人記入欄(氏名、住所、休業期間など)
      • 会社記入欄(給与の支払い状況など)
      • 医師記入欄(病名、診断結果、休業の必要性など)
  2. 診断書(医師の証明書)
    • 主治医に記入してもらう必要あり
    • 「○月○日~○月○日まで仕事ができない」と明記されている必要がある。
  3. 給与明細書または賃金台帳
    • 休職期間中に給与が支払われていないことを証明するため。
  4. 通帳またはキャッシュカードのコピー
    • 振込口座を確認するため。

申請の流れ

  1. 病院で診断を受け、医師から「休業が必要」という診断書をもらう
  2. 会社に申請の意向を伝え、必要書類を準備
  3. 傷病手当金支給申請書を会社の担当部署(人事・総務)に記入してもらう
  4. 必要書類を揃え、健康保険組合(または協会けんぽ)へ郵送する
  5. 審査の後、約1~2か月後に指定の銀行口座へ入金

未払賃金立替払制度

未払賃金立替払制度の概要

未払賃金立替払制度とは、会社が倒産したり、経営破綻した結果、従業員の給料(賃金)が支払われない場合に、政府が代わりに一定額を立て替えて支給する制度です。

たとえば、次のようなケースで役立ちます:

  • 勤務先が突然倒産し、給料や残業代が支払われなくなった
  • 会社の経営が悪化し、給与の支払いが遅れたまま、会社がなくなった
  • 退職したのに、未払いの給料や退職金が支払われない

この制度は、厚生労働省の「独立行政法人 労働者健康安全機構」が管理しており、倒産などで賃金を受け取れなくなった労働者の生活を守るためのものです。

受給条件と対象者

未払賃金立替払制度を利用できるのは、次の2つの条件を満たす場合です。

対象となる会社の状況

  • 会社が倒産していること
    • 法的な「倒産」(破産・民事再生・会社更生など)だけでなく、事業が完全に停止して社長や経営者と連絡が取れない状態 も含まれます。
    • 倒産の判断は、労働基準監督署が行います。

対象となる労働者

  • 会社の元従業員で、未払いの給料や退職金がある人
  • 正社員だけでなく、契約社員・パート・アルバイト・派遣社員も対象
  • 会社が倒産する「6か月前まで」に退職した人も対象
    • たとえば、会社が2024年3月に倒産した場合、2023年9月以降に退職した人 も申請できます。

ただし、以下の人は対象外になります:

  • 社長・取締役などの経営者
  • 経営に関与していた役員や親族

受給金額と支給内容

未払賃金立替払制度では、未払いの給料や退職金があった場合に、その一部を立て替えて支給してもらえます。

支給される金額

  • 未払い賃金の8割が支給される
    • たとえば、未払い賃金が50万円あった場合、40万円(50万円 × 80%)が支給 されます。

支給上限額

支給額には上限が設定されており、年齢によって異なります。

労働者の年齢立替払いの上限額(最大)
30歳未満88万円
30歳~44歳176万円
45歳以上296万円
  • 退職金も対象になりますが、上限額に含まれます。

支給対象となる賃金の範囲

以下のものが未払いになっている場合、立替払いの対象になります:

  • 基本給
  • 残業代
  • 賞与(ボーナス)
  • 退職金
  • 手当(通勤手当・家族手当など)

申請方法と手続きの流れ

未払賃金立替払制度の申請は、労働基準監督署または地方労働局を通じて行います。

申請の期限

  • 会社が倒産してから2年以内に申請しなければなりません。

申請に必要な書類

未払賃金立替払制度の申請には、次の書類が必要です。

  1. 未払賃金立替払請求書
    • 労働基準監督署または労働者健康安全機構のホームページからダウンロードできます。
  2. 賃金未払いを証明する書類
    • 給与明細、賃金台帳、労働契約書、雇用契約書など、未払いの給料があることを示す書類。
  3. 倒産した会社の情報
    • 会社が倒産したことを証明するための資料(新聞記事やホームページの閉鎖情報など)。
  4. 本人確認書類
    • マイナンバーカード、運転免許証、パスポートなど。
  5. 振込先口座の情報
    • 立替払いの金額を受け取るための銀行口座情報。

申請から支給までの流れ

  1. 労働基準監督署へ相談
    • 未払い賃金がある場合、まず最寄りの労働基準監督署に相談します。
  2. 会社が倒産しているか確認
    • 労働基準監督署が、会社の倒産状況を確認します。
  3. 申請書類を提出
    • 必要書類を準備し、労働基準監督署または労働者健康安全機構に提出します。
  4. 審査
    • 申請が受理されると、約2~3か月の審査期間があります。
  5. 支給決定・振込
    • 審査が完了すると、指定の銀行口座に未払賃金の立替払いが振り込まれます。

特例一時金

特例一時金の概要

特例一時金とは、特定のやむを得ない理由で退職した労働者に対して支給される一時的な給付金です。
通常、退職した場合は「失業保険(基本手当)」を受け取ることができますが、特例一時金は、失業保険の受給資格を満たしていない人や、特別な理由で通常の失業手当が受け取れない人を対象に支給される制度です。

特例一時金が支給される主なケース

  • 勤務先が倒産し、雇用保険の受給条件を満たせないまま退職した
  • 自然災害(地震・台風・豪雨など)により会社が事業継続できなくなり退職を余儀なくされた
  • 解雇・リストラされたが、雇用保険の加入期間が足りず通常の失業手当を受け取れない
  • パート・アルバイトなどの非正規雇用で、雇用保険の加入期間が短かった
  • ケガや病気などで、働きたくても働けず退職したが、失業保険を受け取れない

この制度は、特定の条件に該当する人が「失業手当の代わり」に受け取る給付金と考えるとわかりやすいでしょう。よる退職の際に利用可能です。

受給条件と対象者

特例一時金を受け取るには、以下の条件を満たす必要があります。

雇用保険に加入していたこと

  • 退職前に、雇用保険に6か月以上加入していたこと が必要です。
  • ただし、倒産や自然災害などの特例が認められる場合は6か月未満でも対象となることがあります。

退職理由が「特例に該当する非自発的な退職」であること

  • 特例一時金の対象となるのは、「やむを得ない理由で退職した場合」 に限られます。
  • 具体的には、以下のような理由が該当します。
  1. 会社の倒産
    • 会社が倒産し、従業員が突然解雇された場合。
  2. 事業縮小や経営不振による解雇
    • 会社の業績悪化による希望退職募集、事業閉鎖による整理解雇など。
  3. 自然災害による退職
    • 地震や台風、豪雨などの災害で事業継続が困難になり、会社が閉鎖された場合。
  4. 雇用保険の加入期間が足りない
    • 通常、失業保険を受け取るには、退職前の2年間で通算12か月以上雇用保険に加入している必要がありますが、特例に該当する場合は6か月以上の加入で対象になることがあります。
  5. 病気やケガで働けなくなった
    • 労働者本人が病気やケガで退職せざるを得なかった場合も、特例として認められる場合があります。

積極的に求職活動を行う意思があること

  • 仕事を探す意思があり、求職活動を行っていることが条件です。
  • ただし、病気やケガなどの理由で求職活動ができない場合は、医師の診断書を提出することで条件を満たせるケースもあります。

受給金額の計算方法

特例一時金の金額は、退職前の給与や雇用期間に基づいて計算されます。

基本的な計算方法

  • 特例一時金は、通常の失業保険(基本手当)の「所定給付日数」に相当する日数分が一括で支給される」 形になります。
  • 計算式は以下のとおりです。

「1日あたりの基本手当日額 × 所定給付日数」

1日あたりの基本手当日額

  • 退職前6か月間の給与の平均額をもとに計算
  • 目安として、退職前の月収の50~80%程度 となります。

支給日数の目安

年齢・雇用保険の加入期間所定給付日数(目安)
1年未満(特例)30日~60日分
1年以上5年未満90日~120日分
5年以上10年未満120日~150日分

※ 具体的な支給額は、ハローワークで計算してもらうことができます。

申請手続きの流れ

特例一時金の申請は、退職後に最寄りのハローワークで手続きを行う必要があります。

申請期限

退職の翌日から1年以内に申請しなければなりません。

必要書類

特例一時金を申請する際には、以下の書類が必要になります。

  1. 離職票(1・2)
    • 退職時に会社から受け取る書類。
    • 退職理由が「特例に該当する非自発的な退職」と記載されている必要があります。
  2. 雇用保険被保険者証
    • 雇用保険に加入していたことを証明する書類。
  3. マイナンバーカード(または運転免許証・パスポートなど)
    • 本人確認のため。
  4. 求職申込書
    • ハローワークで作成し、就職活動の意思を示すために提出。
  5. 退職理由を証明する書類
    • 倒産の場合は「会社の倒産を証明する書類」や「事業所閉鎖通知」など。
    • 病気の場合は「医師の診断書」など。

申請の流れ

  1. ハローワークで求職申請
    • まずハローワークで仕事を探していることを登録。
  2. 特例一時金の申請書類を提出
    • 退職理由を証明する書類とともに提出。
  3. 審査
    • 提出後、ハローワークで審査が行われます(約1~2か月)。
  4. 支給決定・振込
    • 審査に通れば、指定の銀行口座に一括で支給されます。

育児休業給付金

育児休業給付金の概要

育児休業給付金とは、育児のために休業する労働者を経済的に支援するための給付金です。

育児休業を取得すると、その期間中は給与が支払われないことが多く、収入が減ることで生活が不安定になる可能性があります。そこで、雇用保険から給付金を受け取ることで、育児に専念できるよう支援する制度が設けられています。育児休業給付金は、雇用保険の制度であり、ハローワーク(公共職業安定所)と日本政府(厚生労働省)が管理しています。

育児休業給付金の目的

  • 育児休業中の生活費を補助する
  • 仕事と育児の両立をサポートし、復職を促す
  • 育児のための離職を防ぎ、キャリア継続を支援する

受給条件と対象者

育児休業給付金を受給するためには、以下の条件を満たしている必要があります。

1.育児休業を取得している

  • 子どもが1歳になるまで(最大2歳まで延長可能)育児休業を取得していること
  • 休業期間中に仕事をしていないこと(一部例外あり)

2.雇用保険に加入している

  • 育児休業を開始する前の2年間に、雇用保険の加入期間が12か月以上あること
  • 正社員・契約社員・パート・派遣社員でも、雇用保険に加入していれば対象
  • 自営業・フリーランスは対象外

3.育児休業中に賃金が支払われていない

  • 休業期間中に給与が支払われていない、または休業前の給与の8割未満であること
  • 会社から給与の全額が支払われている場合は給付金の対象外

4.復職の意思がある

  • 育児休業後、同じ会社に復職することが前提
  • 育児休業後に退職する場合は、給付金を受け取れない

受給金額と計算方法

育児休業給付金の支給額は、休業前の給与をもとに計算されます

基本的な支給額

育児休業開始から 180日目までは、月収の67%が支給されます。
181日目以降は 月収の50% に減額されます。

計算式

  • 育休開始から180日目まで
    「休業開始前6か月の平均給与 × 67%」
  • 181日目以降
    「休業開始前6か月の平均給与 × 50%」

支給上限と最低保証額

  • 2024年度の支給上限額(変更の可能性あり)
    • 180日目までの上限額:月額約30万円
    • 181日目以降の上限額:月額約22万円
  • 最低保証額(最低でも支給される金額)
    • 月額 約5万円

育児休業給付金の支給期間

育児休業給付金は、原則子どもが1歳になるまで支給されますが、状況に応じて延長できます。

育児休業の延長条件支給期間
通常の育児休業1歳まで
保育園に入れない場合最長1歳6か月まで
さらに保育園に入れない場合最長2歳まで

申請手続きの流れ

育児休業給付金の申請は、通常は勤務先(会社)を通じて行います。

申請のタイミング

  • 育児休業開始後1か月以内に申請する必要があります。

必要な書類

  • 育児休業給付金支給申請書
    • 会社が用意してくれることが多い
  • 雇用保険被保険者証
    • 雇用保険に加入していることを証明する書類
  • 母子手帳のコピー
    • 子どもの出生を証明するため
  • 給与明細や賃金台帳
    • 休業前の給与を確認するため
  • 銀行口座の情報
    • 給付金の振込先を指定するため

申請の流れ

  1. 会社に育児休業の申請をする
    • 会社の人事担当に「育児休業を取得したい」と申し出る
    • 会社側が「育児休業取得届」を作成し、ハローワークへ提出
  2. 育児休業給付金の申請
    • 会社がハローワークに申請手続きを行う
    • 申請が受理されると、ハローワークから「受給資格決定通知書」が送られる
  3. 支給開始
    • 申請が完了すると、2か月ごとに銀行口座へ給付金が振り込まれる

教育訓練給付金

教育訓練給付金の概要

教育訓練給付金 とは、働く人がスキルアップやキャリアアップのために資格取得や学習を行う際、その受講費用の一部を国が支給する制度です。

この制度を活用すると、ビジネススキル、IT、介護、語学、専門資格などの講座を受講する際に、費用の一部または全額が補助されるため、自己負担を軽減しながら学習できます。

教育訓練給付金は、厚生労働省が管轄し、ハローワーク(公共職業安定所)が手続きを行う雇用保険の給付制度です。

制度の目的

  • 働く人のスキルアップを支援し、より良い仕事に就くことをサポート
  • 転職やキャリアチェンジを目指す人を支援
  • 企業の即戦力となる人材を育成
  • 職業の安定と継続的な学びを促進

受給条件と対象者

教育訓練給付金を受給するには対象者の条件受講する講座の条件の両方を満たす必要があります。

対象者の条件

教育訓練給付金には、「一般教育訓練給付金」と「専門実践教育訓練給付金」の2種類があります。それぞれの対象者の条件は以下のとおりです。

区分一般教育訓練給付金専門実践教育訓練給付金
雇用保険の加入期間1年以上(初めて利用する場合)2年以上(初めて利用する場合)
対象者在職者・退職者(雇用保険の被保険者)在職者・退職者(雇用保険の被保険者)
対象となる目的転職・スキルアップ専門的な技術・資格取得
給付率受講費用の20%(最大10万円)受講費用の50~70%(最大56万円)
  • 雇用保険に一定期間加入していることが前提
  • 退職後でも、雇用保険に加入していた期間があれば利用可能
  • 自己都合退職でも対象となる
  • フリーランス・自営業の人は対象外

受講する講座の条件

  • 厚生労働省が指定する 「教育訓練講座」 であること
  • 通信講座・オンライン講座でも対象になる場合がある
  • 受講修了後に修了認定を受けること(途中で辞めると支給されない)

対象講座の例

  • 一般教育訓練(ビジネススキル、語学、IT、介護、簿記など)
  • 専門実践教育訓練(医療、建築、福祉、プログラミング、調理師など)

受給金額と計算方法

一般教育訓練給付金

  • 受講費用の20%(最大10万円)
  • 受講費用が 5万円以上 の講座が対象
  • 例:受講費用が30万円なら、6万円支給(30万円 × 20%)

専門実践教育訓練給付金

  • 受講費用の50%(最大56万円)
  • 修了後、資格を取得し、1年以内に就職すると、追加で受講費用の20%(最大16万円) 支給
  • 例:受講費用が80万円なら、40万円支給(80万円 × 50%)
  • さらに、資格取得し就職すれば、追加で16万円支給(80万円 × 20%)
  • 合計で最大56万円支給

申請手続きの流れ

教育訓練給付金の申請は、受講前と受講後の2回手続きが必要です。

受講前の手続き(事前申請)

  1. ハローワークで講座の対象確認
    • 受けたい講座が対象講座かどうか確認する
  2. 「教育訓練給付金支給要件照会表」を提出
    • 自分が受給資格を満たしているか確認
  3. 講座の申し込み
    • 指定の教育機関で受講申し込みを行う

受講後の手続き(給付申請)

  1. 講座を修了し、証明書を受け取る
    • 途中で辞めた場合は給付金を受け取れない
  2. ハローワークで給付金の申請
    • 受講修了後 1か月以内 に申請
  3. 審査後、給付金が振り込まれる
    • 審査には1~2か月かかることがある

退職金制度とその活用方法

退職金制度の種類と一覧表

退職金制度とは、企業が長年勤めた従業員に対し、退職時に支払う報酬のことを指します。
これは、従業員の老後の生活を支えるための資金や、転職・独立のための資金となります。

退職金制度は、企業によって異なり、大きく分けて以下の3種類があります。

退職金制度の種類特徴メリットデメリット
定額制(基本給連動型)勤続年数に応じて、一定額の退職金を支給計算がシンプルで予測しやすい企業ごとに支給基準が異なり、金額に差が出る
比例制(ポイント制・積立型)勤続年数や業績、貢献度に応じて退職金を決定長期勤続者に有利で、モチベーションアップにつながる企業業績が悪化すると退職金額が減る可能性がある
確定拠出型(企業型・個人型DC)企業が拠出した資金を、従業員が自己運用する投資の自由度が高く、増額の可能性もある運用リスクがあり、元本割れのリスクがある

退職金の計算方法と受け取り方

退職金の計算方法は、企業ごとに異なりますが、「勤続年数 × 退職時の給与額 × 給付率」 という計算式が一般的です。

退職金の計算方法

退職金の計算には、主に以下の3つの方式があります。

計算方式計算式の例特徴
基本給比例方式最終月給 × 勤続年数 × 給付率最終給与額が高いほど退職金が増える
ポイント方式勤続年数ごとにポイントを積み上げ、一定の係数を掛ける勤続年数や評価によって変動する
確定拠出型(DC)企業が拠出した金額+運用益投資運用の成果によって金額が変わる

退職金の受け取り方法

退職金の受け取り方法には、大きく分けて 「一時金受け取り」「年金受け取り」の2種類があります。

受け取り方法特徴メリットデメリット
一時金受け取り(全額一括支給)退職時に全額を一括で受け取るすぐに資金が手に入る一度に多額の税金がかかる可能性がある
分割受け取り(年金方式)退職金を分割して年金のように受け取る税負担が軽減され、計画的に使える毎月の受給額が固定されるため、一度に大きな金額を使えない

どの受け取り方が有利?

  • 老後資金を安定して確保したい人は「分割受け取り(年金方式)」
  • まとまった資金が必要な人は「一時金受け取り」
  • 税金対策を考えるなら「一時金+分割受け取りの併用」

退職金の税金と節税対策

退職金には、通常 「退職所得控除」 という特別な税制が適用されます。
これにより、一般の給与よりも税負担が軽くなる仕組みになっています。

退職金にかかる税金の計算方法

退職金の税金は、以下のステップで計算されます。

  1. 「退職所得控除」を差し引く
    • 勤続年数によって非課税枠が決まる
    • 20年以下:40万円 × 勤続年数
    • 20年以上:800万円 + 70万円 ×(勤続年数 – 20年)
  2. 控除後の金額を1/2にする
    • (退職金 – 退職所得控除)÷ 2
  3. 所得税・住民税を計算
    • 退職所得に応じた税率を適用

(例)勤続30年で退職金2,000万円の場合

  1. 退職所得控除額
    → 800万円 +(70万円 × 10年)= 1,500万円
  2. 課税対象額(1/2の計算)
    →(2,000万円 – 1,500万円)÷ 2 = 250万円
  3. 税額計算(所得税+住民税)
    • 所得税率5% → 12.5万円
    • 住民税率10% → 25万円
    • 合計:37.5万円の税金

通常の給与よりも、退職金の税率は低く抑えられるため、税負担が軽減される。

退職金の節税対策

退職金の税金を抑えるための具体的な方法を紹介します。

受け取り方法を工夫する

「一時金と年金受け取りの併用」

  • 一時金として退職金控除を適用し、残りを年金方式で受け取ることで、税金負担を分散できる。

「分割受け取りを利用する」

  • 一度に大きな金額を受け取ると高額な税率がかかるため、年金形式で少額ずつ受け取ることで税負担を軽減。

個人型確定拠出年金(iDeCo)を活用

  • iDeCo(イデコ)に加入しておくと、老後資金を準備しながら節税が可能
  • 退職金を一度に受け取らず、iDeCoの受け取りを分けることで、税金の負担を軽減できる。

退職時期を調整する

年の途中で退職すると、住民税の負担が大きくなる可能性があるため、年末や年度末に退職することで税負担を分散できる。

広域求職活動費

広域求職活動費は、雇用保険の受給資格者がハローワークの紹介により遠方の企業で面接を行う際、交通費や宿泊費を支給する制度です。

主な支給要件

  • 雇用保険の受給資格者であること:失業給付を受けている方が対象です。
  • ハローワークの紹介による遠隔地の常用求人への応募:自ら応募した場合や、ハローワーク以外の紹介では対象外となります。
  • 訪問先企業までの往復距離が200km以上:雇用保険の受給手続きを行っているハローワークから、訪問する企業の所在地を管轄するハローワークまでの距離が往復で200km以上であることが条件です。

支給内容

  • 交通費:鉄道、船舶、航空機、車両などの通常の経路・方法による運賃が支給されます。
  • 宿泊費:訪問先との往復距離が400km以上の場合、距離と訪問企業数に応じて定められた金額が支給されます。

申請手続き

  1. ハローワークでの求人紹介:遠方の求人紹介を受けた際に、「広域求職活動指示書」と「広域求職活動面接等訪問証明書」が交付されます。
  2. 面接の実施:訪問先企業で面接を行い、「広域求職活動面接等訪問証明書」に企業の証明を受けます。
  3. 申請書類の提出:面接終了日の翌日から起算して10日以内に、必要書類をハローワークに提出します。

この制度を活用することで、遠方での就職活動に伴う経済的負担を軽減できます。詳細や最新情報は、最寄りのハローワークにお問い合わせください。

退職前後の支援資金・融資制度

退職者向けの融資制度一覧

退職後、新たなキャリアに挑戦するためには資金が必要になることがあります。
以下のような状況に応じて、公的機関や金融機関から融資を受けることができます。

公的機関による融資制度

日本政策金融公庫「新創業融資制度」

  • 対象者:退職後に起業を考えている人
  • 融資限度額:3,000万円(うち運転資金は1,500万円まで)
  • 金利:年1.0~2.5%程度(2024年時点)
  • 特徴:無担保・無保証人でも融資を受けられる可能性がある

日本政策金融公庫「再挑戦支援資金」

  • 対象者:転職や独立を考えているが、一時的な資金が必要な人
  • 融資限度額:最大3,500万円
  • 金利:1.5~3.0%(信用保証が必要)
  • 特徴:退職金を活用することで融資審査が通りやすくなる

自治体の創業支援融資

  • 対象者:都道府県や市町村の支援を受けながら起業する人
  • 融資額:最大500万円~2,000万円(自治体による)
  • 特徴:地域の創業支援と連携し、低金利で借りられる

民間の金融機関による融資制度

銀行の「無職向け融資プラン」

  • 対象者:退職後の生活資金が必要な人
  • 融資額:50万円~500万円(銀行による)
  • 金利:4.0%~14.0%(カードローン型が多い)

クレジットカードのキャッシング枠

  • 対象者:急な資金が必要な人
  • 融資額:10万円~300万円
  • 金利:年15.0~18.0%(高金利のため注意)

住宅ローンの借り換え

  • 対象者:退職後に住宅ローンの負担を軽減したい人
  • 金利:0.5~1.5%(固定・変動金利の選択可能)
  • 特徴:退職前に借り換え手続きを済ませるのが理想

退職者向け特別支援制度

雇用保険の「教育訓練給付制度」

  • 対象者:退職後に資格取得を考えている人
  • 支援額:受講費用の最大70%(専門実践教育訓練給付金)
  • 特徴:退職後の再就職を目指すためのサポート

生活福祉資金貸付制度(厚生労働省)

  • 対象者:低所得者・失業者向けの支援資金
  • 貸付額:最大200万円(特例貸付あり)
  • 特徴:無利子または低金利で借りられる

退職前後の支援資金の活用方法

退職後に融資を受ける場合、資金を計画的に使用することが重要です。
以下のような用途で活用できます。

再就職活動のための支援資金

転職活動費用

  • 面接交通費、履歴書作成費、職務経歴書作成費
  • スーツ購入費用、就職支援サービスの利用料

スキルアップ・資格取得

  • 教育訓練給付金を活用して専門資格を取得
  • ITスキル、語学スキル、介護・医療系資格の取得費用

起業資金としての活用

日本政策金融公庫や自治体の創業支援融資を活用

  • 初期投資(店舗の開業費、設備資金)
  • 広告費・販促費・運転資金

クラウドファンディングでの資金調達

  • 事業アイデアが魅力的であれば、融資以外の選択肢も検討

退職後の生活資金の確保

貯蓄と退職金の管理

  • 退職金の運用方法を考え、無駄な支出を抑える
  • 「一時金受け取り」と「年金受け取り」の選択

生活費の確保

  • 失業保険(最大1年間の給付)
  • 生活福祉資金貸付制度を活用(低所得者向けの支援)

退職代行サービスと退職時の注意点

退職代行サービスの利用方法

退職代行サービスとは、退職の手続きを代行してくれるサービスです。
このサービスを利用すると、自分で会社に出社したり、上司や同僚と直接やり取りする必要がなく、スムーズに退職することができます

特に、上司からの引き止めが強い場合や、職場環境に問題があり自分から退職を伝えづらい場合に役立ちます。
退職の手続きややり取りを代行業者がすべて行ってくれるため、精神的な負担を減らし、ストレスなく辞められるのが大きなメリットです。

退職代行サービスのメリット

  • 会社と一切連絡せずに退職可能
  • 即日退職が可能(場合によっては翌日)
  • 有給消化の交渉も代行してもらえる
  • 未払い賃金の請求サポート(弁護士対応の場合)

退職代行サービスの注意点

  • 会社側が退職届を拒否する可能性もある
  • 弁護士資格がない業者は「未払い給与・残業代の請求」はできない
  • 退職金やボーナスを受け取る前に退職すると損する可能性がある

退職後のライフプランとお金の管理

退職後の生活設計と必要な資金

退職後の生活を安定させるためには、生活費の確保・健康管理・社交活動・趣味の計画など、ライフプランをしっかり立てることが重要です。

退職後の生活設計を考えるポイント

退職後のライフスタイルは、人によって異なります。以下の項目を考慮しながら、必要な資金を計画的に準備しましょう。

項目内容
生活費食費・光熱費・通信費・住居費(賃貸・持ち家)・保険料など
健康管理医療費・健康診断・介護費用
社交活動旅行・趣味・友人との交流
子どもや孫への支援教育資金・住宅資金の援助
住まいの維持費固定資産税・リフォーム費用
万が一の備え葬儀費・相続準備・終活費用

退職後に必要な資金の目安

一般的に、退職後に必要な生活費は「月額20万~30万円」 と言われています。

老後の生活費(夫婦2人世帯の目安)

  • 基本生活費(食費・住居費・光熱費など):月20万~25万円
  • 娯楽・趣味・交際費:月3万~5万円
  • 医療費・介護費:年間30万円(将来の備え)
  • 旅行費用:年間20万~50万円

退職後30年間の生活費総額

  • 30万円 × 12か月 × 30年 = 約1億800万円
  • 20万円 × 12か月 × 30年 = 約7,200万円

退職後の資産運用と年金活用

退職後の資金計画では、「資産運用」と「公的年金」を上手に活用し、安定した収入を確保することが重要 です。

退職後の資産運用のポイント

退職後の資産運用では、安全性と収益性のバランスを考慮しながら投資を行うことが重要です。

運用方法メリットデメリット
定期預金元本保証・低リスク利息がほぼつかない(年0.002%程度)
個人向け国債元本保証・年0.05~0.5%程度の利息途中解約が制限される
投資信託分散投資ができる・運用をプロに任せられる元本保証なし・運用コストがかかる
株式投資配当金・株主優待のメリット相場の変動リスクがある
不動産投資毎月の家賃収入が得られる初期費用が高い・管理が必要
iDeCo(個人型確定拠出年金)掛金が全額所得控除になる・老後資金に活用60歳まで引き出せない
つみたてNISA非課税で長期投資ができる運用次第で元本割れのリスクあり

退職後の資産運用で注意するべき点

  • 無理なリスクを取らない(株・FXなどのハイリスク投資は慎重に)
  • 生活資金とは別に投資資金を確保し、余裕資金で運用する
  • 定期的に運用方針を見直し、リスクを分散させる

年金活用のポイント

退職後の収入の柱となるのが、公的年金(老齢年金)です。年金の受給タイミングを工夫することで、受取額を増やすことが可能です。

  1. 基本の年金受給額(国民年金+厚生年金)
  • 会社員の夫+専業主婦のケース:月額約22万円
  • 自営業者(国民年金のみ)のケース:月額約6万円

2. 年金受給額を増やす方法

方法メリットデメリット
65歳以降まで年金受給を繰り下げる1か月遅らせるごとに0.7%増額(最大42%増)受給開始が遅くなる
iDeCo(個人型確定拠出年金)を活用老後の資産形成+税制優遇あり60歳まで引き出せない
付加年金・国民年金基金に加入月400円の追加で、将来の年金額が増える自営業者向けのみ

3. 年金の受給開始時期の選択

  • 65歳より「早めに」受給(60歳~64歳)
    • 1か月早めるごとに0.4%減額(最大24%減)
    • 60歳から受給すると「76%」の支給額しかもらえない
  • 65歳より「遅く」受給(66歳~70歳)
    • 1か月遅らせるごとに0.7%増額(最大42%増)
    • 70歳から受給すると「142%」の支給額になる

4. どちらを選ぶべきか?

  • 長生きする自信がある人 → 70歳まで繰り下げ受給で42%増額!
  • すぐに生活費が必要な人 → 65歳で標準受給!
  • 健康に不安がある人 → 60歳から繰り上げ受給も選択肢!

退職給付金に関するよくある質問

Q. 失業保険は一度もらうとどうなる?

失業保険を受給すると、次回もらうには再就職後に12か月以上の雇用保険加入が必要 です(会社都合は6か月)。
給付中に就職すると「再就職手当」がもらえる ことがあります。
短期間で自己都合退職を繰り返すと、次回の給付制限が延びる可能性 があるので注意が必要です。

Q. 失業保険を自己都合退職でもすぐもらう方法はある?

通常、自己都合退職は2か月の給付制限 がありますが、以下の場合は短縮可能です。

  1. 正当な理由(病気・介護・パワハラなど)がある場合(証明書提出が必要)
  2. 職業訓練を受講すると、給付制限なしですぐ支給される
  3. 「特定理由離職者」(契約満了・転勤など)に該当する場合

Q. 失業保険の初回給付はいくらもらえる?

退職前6か月の給与 を基に計算され、1日あたり50~80%(上限8,670円)が支給されます。
例えば、月収30万円なら1日7,000~8,000円程度 です。
初回の振込は申請後約1か月後 ですが、自己都合退職の場合は給付制限の影響で遅くなることがあります。

まとめ

退職後の経済的安定と充実した生活を送るためには、退職前の計画が非常に重要です。失業保険、再就職手当、育児休業給付金などの各種給付金を理解し、適切に申請することで、退職後の不安を大幅に軽減することが可能です。また、退職金の最適な受け取り方や税金対策を事前に検討することも、資金管理の重要な要素となります。

さらに、退職者向けの融資制度や支援資金の活用方法を把握することで、再就職や自己投資、起業への資金を確保することができます。退職代行サービスを利用することによって、退職のプロセスをスムーズに進行させることができ、不必要なストレスやトラブルを避けることが可能です。

退職後のライフプランを立てる際には、長期的な資金計画を立て、健康管理や社会活動への参加も考慮に入れるべきです。公的年金の受給資格や受給開始のタイミングを調整することで、退職後の資金状況をさらに改善することができます。

最終的に、退職後の生活は計画的に準備することで、経済的な安定だけでなく、個人の満足感や生活の質も大きく向上します。適切な情報と資源を活用し、退職を迎えるそれぞれの人がそれぞれのニーズに合った最良の選択をすることが、成功の鍵となるでしょう。

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