うつ病で退職した場合、「失業保険は何日間もらえるのか」「300日受給できるって本当?」と気になる方も多いのではないでしょうか。
通常より長く支給される制度があるため、正しい知識が重要です。
結論から言えば、うつ病などの病気で退職し「就職困難者」に該当すれば、300日間や360日間の失業保険を受給できる可能性があります。
本記事では、うつ病で退職した場合の失業保険の受給日数や対象条件、300日受給のポイントについてわかりやすく解説します。
退職後の生活に不安を感じている方は、ぜひ参考にしてください。
うつ病退職でも300日受給できる可能性も!
うつ病でも就職困難者なら失業保険が300日もらえる
うつ病で退職した場合、「就職困難者」と認められれば、150日、300日もしくは360日の受給期間が適用される可能性があります。
具体的には、就職困難者の受給期間は年齢と被保険者期間によって次のように決まります。
被保険者期間:1年未満 | 被保険者期間:1年以上 | |
---|---|---|
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 360日 |
うつ病で退職した場合の失業保険の扱い
うつ病で退職した場合、主に特定理由離職者、就職困難者、自己都合退職者(通常の離職者)のいずれかに当てはまります。
まずは自分がどれに当てはまるかを確認しましょう。
特定理由離職者
自己都合で退職しても、心身の障害などうつ病が原因の場合、「特定理由離職者」の区分と認められる場合があります。
「特定理由離職者」の場合、受給期間は下記のとおり90日~150日です。
被保険者期間:10年未満 | 被保険者期間:10年以上20年未満 | 被保険者期間:20年以上 | |
---|---|---|---|
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
なお、特定理由離職者は、1年間で6か月以上の被保険者期間があれば受給条件を満たします。
就職困難者
うつ病で退職し、なおかつ統合失調症や躁うつ病病(躁病およびうつ病を含む)と診断された場合、「就職困難者」の区分と認められる可能性があります。
前述のとおり、受給期間が最大360日と手厚くなります。
被保険者期間:1年未満 | 被保険者期間:1年以上 | |
---|---|---|
45歳未満 | 150日 | 300日 |
45歳以上65歳未満 | 360日 |

自己都合退職者(通常の離職者)
うつ病で退職したとしても、「特定理由離職者」にも「就職困難者」にも該当しないと判断された場合、通常の自己都合退職者として扱われます。
自己都合退職者の場合の受給期間は、90日~150日です。
被保険者期間:10年未満 | 被保険者期間:10年以上20年未満 | 被保険者期間:20年以上 | |
---|---|---|---|
全年齢 | 90日 | 120日 | 150日 |
なお、自己都合退職の場合は2年のうち12か月以上の被保険者期間が必要です。
さらに、7日間の待期期間に加えて原則1か月の給付制限が設けられるため、給付が開始するまでに時間がかかります。
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うつ病でも求職活動は必要?
原則として、失業保険を受給するためには求職活動をおこなう必要があります。
医師と相談しながら、仕事ができる状態かどうかを見極めることが重要です。
特に、うつ病の回復状況によっては、障害年金や傷病手当金を優先して受給する方が良い場合もあるでしょう。
うつ病で退職して失業保険を受給できるケース・できないケース
うつ病で退職しても、失業保険を受給できるかはわかりません。
受給できるケースとできないケースを解説します。
受給できるケース
失業保険を受給できるのは、次のケースです。
- 特定理由離職者として認定された場合
- 求職活動が可能な場合
- 雇用保険の加入期間が最低6か月以上ある場合
- 退職後すぐに傷病手当金を受け取らず、失業保険を優先する場合
退職理由に関わらず、失業保険を受給できるのは、働く意思があり求職活動をおこなえる人です。
また、雇用保険加入期間は通常12か月分必要ですが、うつ病で退職して特定理由離職者と判断されれば、6か月でも問題ありません。
受給できないケース
一方、失業保険を受給できないのは次のケースです。
- 働く意思がない、または働ける状態ではない場合
- 雇用保険の加入期間が不足している場合
- 求職活動をストップしてしまった場合
うつ病で退職後に働ける状態でない場合、受給は認められません。医師が就労困難と判断すると、失業保険ではなく傷病手当金や障害年金が優先されます。
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失業保険とは?雇用保険制度の基本
失業保険とは
失業保険(雇用保険の基本手当)は、失業状態になった被保険者に対して、一定期間、給付金が支給される制度です。
支給額は退職前の賃金によって決まり、自己都合退職か会社都合退職かによって給付日数も異なります。
うつ病が原因で退職した場合、特定理由離職者や特定受給資格者に該当すると、通常よりも手厚い給付を受けられる可能性があります。
失業保険の受給資格者とは?
失業保険を受け取るためには、一定の雇用保険の加入期間があることが条件です。
通常、退職前の2年間に12か月以上雇用保険に加入していることが必要ですが、「特定理由離職者」や解雇等の理由で会社都合退職した場合は、6か月以上の加入期間で受給資格が認められます。
失業給付金の金額と日額の計算方法
失業保険の給付金は、退職前の賃金(日額)を基に計算されます。基本的な計算式は次のとおりです。
基本手当日額 = 退職前6か月の賃金総額 ÷ 180日 × 給付率(50%~80%)
例えば、月収が30万円だった場合、基本手当日額は約6,000円です。
- 30万円 × 6か月 = 180万円
- 180万円 ÷ 180日 = 10,000円
- 給付率 60%(概算) → 1日あたり6,000円支給
給付率は退職時の年齢や賃金によって異なり、最低保障額・最高限度額が設けられています。
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失業保険の申請方法と手続きの流れ
失業保険を受給するときの流れや申請方法について解説します。
申請の流れ:ハローワークでの手続き
失業保険を受給するには、退職後、最寄りのハローワークで手続きをおこなう必要があります。
- 必要書類を揃える
- ハローワークで求職申込を行う
- 受給資格の決定(特定理由離職者の認定を含む)
- 7日間の待機期間と1か月の給付制限を経て支給開始
通常、待期期間のあとに原則1か月の給付制限期間が設けられますが、特定理由離職者と認められれば待期期間のみで支給が開始されます。
必要書類の一覧
失業保険を申請する際に、以下の書類が必要になります。
- 離職票(退職後に会社から発行される)
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類(運転免許証・マイナンバーカードなど)
- 診断書または医師の意見書
- 通帳またはキャッシュカード(給付金振込口座)
- 印鑑
特にうつ病で退職した場合は、特定理由離職者や就職困難者と認められるために医師の診断書が必要です。
ハローワークでは、退職理由を証明するために診断書の内容を確認し、特定理由離職者に該当するかを判断します。
医師と相談しながら適切な書類を準備しましょう。

申請がスムーズに進まない場合の対処法
失業保険の申請が進まない場合には、以下のような対処法があります。
- 会社が離職票を発行しない場合
└労働基準監督署や弁護士に相談 - ハローワークで認定されない場合
└再提出や異議申し立てを検討 - 金額が想定より少ない場合
└日額計算を見直し、問題があれば相談
失業保険の受給には期限があるため、手当を確実にもらうために、問題が発生したら速やかに対処してください。
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うつ病からの回復と就職活動
うつ病が回復し始めたら、無理のない範囲で働く準備を始めることが大切です。
復職の目安としては、医師が「就労可能」と診断し、日常生活に支障がない程度に回復していることが挙げられます。
うつ病でも働きやすい仕事の探し方
うつ病経験者が働きやすい職場を見つけるためには、以下のポイントを考慮すると良いでしょう。
- 短時間勤務が可能な職場
- 在宅勤務ができる仕事
- ストレスの少ない環境(ノルマなし・対人関係が少ない)
- 職場のメンタルヘルスサポートが充実している会社
うつ病になった原因を探り、同じことを繰り返さない職場がおすすめです。
就職支援制度を活用する方法
再就職を目指す場合、以下の支援制度を利用すると、負担を減らしながら就職活動を進めることができます。
- ハローワークの職業訓練(無料でスキル習得)
- 障害者雇用枠の利用(障害年金受給者向け)
- 就労移行支援(働くリハビリとしての職業訓練)
職業訓練では失業中にスキルを見つけられるので、積極的に参加するとよいでしょう。
再就職後の働き方と注意点
就職後も、うつ病の再発を防ぐために、無理をしない働き方を心掛けることが重要です。
また、職場に適応できない場合は、早めに環境を見直すことも選択肢の一つです。
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うつ病のときに利用できる失業保険以外の支援制度
うつ病で退職したときに利用できるのは、失業保険だけではありません。
その他の支援制度も活用してください。
傷病手当金
傷病手当金は、健康保険に加入している被保険者が病気やケガで働けない場合に支給される手当です。失業保険との違いは以下のとおりです。
失業保険 | 傷病手当金 | |
---|---|---|
受給対象 | 退職後、求職活動をする人 | 在職中または退職後も治療が続く人 |
支給期間 | 最大330日 | 最長1年6か月 |
金額 | 賃金の50~80% | 賃金の約67% |
申請先 | ハローワーク | 健康保険組合 |
うつ病が長引く場合は、傷病手当金を優先して申請し、失業保険は後で申請するのも選択肢の一つです。
障害年金
うつ病が重症化し、就労が長期間困難な場合は「障害年金」の対象になる可能性があります。
障害年金は、病状が一定の基準を満たす場合に支給され、年金形式で定期的にお金を受け取ることができます。
障害等級 | 受給金額(目安) | 条件 |
---|---|---|
1級 | 約98万円/年 | 日常生活において常時介助が必要 |
2級 | 約78万円/年 | 仕事ができず日常生活に支障がある |
3級 | 約58万円/年 | 一定の業務は可能だが困難なことが多い |
なお、失業保険と障害年金は同時に受給できます。
生活保護
失業保険が切れた後、生活が困難な場合は生活保護の申請が可能です。ただし、以下の条件を満たす必要があります。
- 資産(預金・車・持ち家など)がほとんどない
- 求職活動を行っても就職できない
- 家族からの支援を受けられない
- ほかの公的支援をすべて受給しても生活できない
生活保護を受けると、最低限度の生活が保障される一方、資産の売却や生活指導を受ける必要があるため、慎重に検討する必要があります。
労災保険
うつ病が職場環境のストレスや過重労働が原因で発症した場合、労災保険の適用対象となる可能性があります。
労災認定を受けると、以下の補償が受けられます。
- 休業補償給付(賃金の80%)
- 障害補償給付(後遺症が残った場合)
- 遺族補償給付(過労死の場合)
労災申請には「医師の診断書」や「勤務記録」「残業時間の証明」が必要で、申請には時間がかかることもあります。
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うつ病で退職するなら!「退職バンク」で安心の退職手続きを
うつ病で退職する場合、「特定理由離職者」や「就職困難者」と認められるか、一般の離職者と同じ扱いになるかは重要なポイントです。
自己都合退職者だと支給日数や受給開始時期で不利になる可能性があります。
後悔しないために、失業保険申請サポートを提供している「退職バンク」に相談するのがおすすめです。
うつ病で退職するときにベストな退職方法や失業保険申請手続きを相談できるでしょう。
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うつ病で辞めた際によくある質問
うつ病が原因で退職した場合、多くの人が直面する疑問や不安があります。ここでは、よくある質問とその回答をまとめました。
うつ病で退職した場合、失業保険はすぐに受給できますか?
通常の自己都合退職では1か月の給付制限がありますが、特定理由離職者として認定されれば、待機期間(7日間)のみで受給が可能になります。
診断書を提出し、ハローワークで適切な手続きを行いましょう。
特定理由離職者のデメリットは?
特定理由離職者は、自己都合退職より優遇されますが、会社都合退職と比べるとデメリットもあります。
まず、給付日数が最大150日と短く、申請には診断書などの証明書が必要です。
退職後、すぐに働けそうにない場合はどうしたらいいですか?
体調が安定するまで無理に求職活動をする必要はありません。
傷病手当金(在職中に申請済みの場合)や障害年金の受給、失業保険の受給期間延長の手続きを行うことができます。 まずは治療を優先し、回復に専念しましょう。
会社が離職票を発行してくれない場合はどうすればいいですか?
離職票は失業保険の申請に必要な書類です。会社が発行しない場合は、ハローワークや労働基準監督署に相談し、対応を依頼することができます。
必要に応じて弁護士や社会保険労務士に相談するのも一つの方法です。

障害年金と失業保険を同時に受給できますか?
可能です。 障害年金は「働けない状態」に対する支援制度であり、失業保険は「働く意思があるが職がない人」への給付金なので、両方を同時に受給することができます。
退職後にお金が足りなくなった場合、ほかに利用できる支援制度はありますか?
生活保護の申請が可能です。 ただし、預金や資産の状況、家族からの支援の有無などによって受給条件が異なります。
社会福祉協議会の貸付制度なども活用できます。
退職後に働くことができる状態になったら、どのように仕事を探せばいいですか?
ハローワークの職業訓練や、精神疾患のある人向けの就労移行支援を活用すると、無理のない範囲で仕事に復帰する準備ができます。
また、障害者雇用枠の活用や、短時間勤務の仕事を探すのも良い選択肢です。
うつ病が職場環境のせいで悪化した場合、会社に責任を問うことはできますか?
可能です。過重労働やパワハラなどが原因でうつ病を発症した場合、労災認定を申請することができます。
会社が不当解雇を行った場合も、労働基準監督署や弁護士に相談するとよいでしょう。

うつ病で失業保険をもらった後に2回目ももらえる?
可能ですが、一定の条件があります。再び雇用保険に加入し、退職前の2年間に12か月以上の被保険者期間があれば、再度受給資格を得られます。
ただし、前回の受給から3年以上経過していないと、特定受給資格者や特定理由離職者以外は給付制限がかかる場合があります。
また、病気が長引く場合は、障害年金や傷病手当金の受給を検討するのも選択肢となります。

まとめ:うつ病でも失業保険をもらえる
うつ病でも失業保険を受給することは可能です。特に「就職困難者」と認められれば、300日や360日分の支給を受けられます。
「特定理由離職者」の場合、受給期間は90日~150日ですが、制限期間がなくすぐに手当をもらえます。
ただし、「就職困難者」や「特定理由離職者」と認められるには、医師の診断書が必要です。
また、失業保険を受給するには求職活動をおこなう必要があるため、退職後に求職活動が不可能な場合は他の制度を利用するほうがよいケースもあります。
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