失業保険の基本概要
失業保険の基本を解説します。
失業保険とはどういった制度なのかを理解しておきましょう。
失業保険とは何か?
失業保険は、仕事を失った際に一定の期間、生活を支えるための給付を受けることができる制度です。
失業保険は、雇用保険に加入している被保険者が対象となります。
再就職活動を支援し、失業期間中の生活を安定させるために設けられています。
失業保険と雇用保険の違い
失業保険と雇用保険は、よく混同されることがありますが、異なる制度です。
雇用保険は、労働者が失業した際に支援を受けるための保険制度であり、失業保険はその一部として位置付けられます。
つまり、失業保険は雇用保険に加入している被保険者が受ける給付の一部です。
失業保険のメリット
失業保険の最大のメリットは、失業期間中の生活費を支えることができる点です。
また、再就職活動を行うための時間と経済的余裕を確保することができます。
失業保険を受給することにより、焦らずに次の就職先を探すことが可能となります。
失業保険受給のデメリット
失業保険の受給にはいくつかのデメリットもあります。
たとえば、給付金の受給中にアルバイトやパートで収入を得る場合、その金額に応じて給付金が減額されることがあります。
また、受給期間中は定期的な求職活動の報告が求められ、不正受給のリスクも考慮する必要があります。
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失業手当の受給条件と対象者とは?
失業保険を受給するためには、一定の条件を満たす必要があります。
条件をすべて満たさないと受給できません。
雇用保険に一定期間が加入している
失業手当を受給するためには、雇用保険に一定期間以上加入していることが条件です。
自己都合退職の場合、原則として2年間に12カ月以上の被保険者期間が必要です。
会社都合退職や解雇の場合は、6カ月以上の被保険者期間があれば受給可能です。
再就職の意思がある
失業保険を受給するには、自己都合退職や会社都合退職、定年退職といった退職理由にかかわらず、失業状態であり、かつ再就職を希望していることが条件となります。
退職しただけでは対象とはならず、精力的に再就職活動をしていなくてはいけません。
失業保険の受給期間
失業保険の受給期間は、年齢や退職理由により異なります。
会社都合退職の場合、90日から最大330日の幅があり、被保険者期間と年齢によって決定します。
被保険者期間 | 1年未満 | 1年以上5年未満 | 5年以上10年未満 | 10年以上20年未満 | 20年以上 |
---|---|---|---|---|---|
30歳未満 | 90日 | 90日 | 120日 | 180日 | – |
30歳以上 35歳未満 | 120日 | 180日 | 210日 | 240日 | |
35歳以上 45歳未満 | 150日 | 240日 | 270日 | ||
45歳以上 60歳未満 | 180日 | 240日 | 270日 | 330日 | |
60歳以上 65歳未満 | 150日 | 180日 | 210日 | 240日 |
一方、自己都合退職の場合、被保険者期間の長さによって90日~150日のいずれかが適用されます。
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受け取れる失業手当の金額は?計算方法とシミュレーション
失業手当の金額は、退職前の給与を基に計算されます。
以下、計算方法とシミュレーションの流れを説明します。
基本手当日額の計算方法
基本手当日額とは、1日あたりの支給額です。基本手当日額は退職前6か月間の給与の総額を180日で割り、その金額に対して給付率(50%~80%)を掛け合わせて算出されます。
基本手当日額 = (退職前6か月間の給与合計 ÷ 180日) × 給付率
給付率は、給与が高いほど低く、給与が低いほど高くなります。
そして、基本手当日額に90日~最大330日の支給日数を掛け合わせたものが、失業保険の受給総額です。
計算シミュレーションの例
たとえば、月収30万円・30歳・雇用保険加入期間1年の場合の受給額を計算してみます。
- 退職前6か月の総給与:30万円 × 6 = 180万円
- 賃金日額:180万円 ÷ 180日 = 1万円
- 給付率:50%
- 基本手当日額:1万円 × 50% = 5,000円
給付率を仮に50%と設定した場合、基本手当日額は5,000円となります。
会社都合で退職した30歳・雇用保険加入期間1年の方であれば、受給期間は120日です。
つまり、5,000円×120日=60万円が総支給額となります。
賃金日額の上限・下限額
賃金日額は、退職前6か月間の平均給与を1日あたりに換算したものです。これには上限額・下限額が設定されています。
上限額は年齢によって異なります。
離職時の年齢 | 上限額 |
---|---|
29歳以下 | 14,130円 |
30~44歳 | 15,690円 |
45~59歳 | 17,270円 |
60~64歳 | 16,490円 |
下限額は年齢にかかわらず2,869円です。
基本手当日額の上限・下限額
基本手当日額は、賃金日額に給付率(50%〜80%)を掛け合わせたもので、失業手当の1日あたりの支給額です。これにも上限額・下限額があります。
離職時の年齢 | 上限額 |
---|---|
29歳以下 | 7,065円 |
30~44歳 | 7,845円 |
45~59歳 | 8,635円 |
60~64歳 | 7,420円 |
下限は年齢にかかわらず2,295円です。
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失業保険の申請方法と必要書類
実際に失業保険を受け取るときの申請方法や必要書類について解説します。
あらかじめ流れを知っておくと安心でしょう。
失業保険の申請手続きの流れ
失業保険の申請は、ハローワークでおこないます。まず、退職後に離職票を受け取り、それを基に申請をおこなってください。
申請後、ハローワークでの受給資格の認定がおこなわれます。失業状態であることを証明するため、定期的に求職活動をしなくてはいけません。
また、認定日にハローワークに行き、求職活動の実績を報告します。これにより、失業給付金の受給が認定され、支給が開始されます。

申請に必要な書類一覧
失業保険の申請には、いくつかの書類が必要です。
主な書類には次のものがあります。
- 離職票
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカードなど)
- 銀行口座の通帳やキャッシュカード
これらの書類を準備し、ハローワークに提出する必要があります。
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失業保険の受給に関する4つの注意点
失業保険を受給する際には、注意しておきたいポイントがあります。
4つお伝えします。
失業給付には待期期間と制限期間がある
失業給付には、7日間の待機期間が設けられています。ハローワークで手続き後、7日間は待期期間として給付が開始されません。
さらに自己都合退職の場合、待機期間後に原則2カ月の給付制限期間があります。
期間中は給付を受けることができないため、注意が必要です。
なお、待期期間中は、アルバイトや副業をすると失業手当の支給が遅れる可能性があり、待期期間中は就労せずに失業状態を保つことが求められます。
積極的に再就職活動をしなくてはいけない
失業保険の受給中は、再就職活動を積極的におこなうことが求められます。
求職活動の記録をしっかりと残し、定期的にハローワークに報告することが重要です。
また、再就職が決定した場合は速やかにハローワークに報告し、失業給付金の受給を終了する必要があります。
不正受給をおこなうと罰則が科される
失業保険の受給期間中に、不正受給をおこなうと厳しい罰則が科される可能性があります。
不正受給とは、実際には働いているにもかかわらず失業状態を装って給付金を受け取る行為です。
このような行為は法律で禁じられており、発覚した場合は給付金の返還や罰金が科されることがあります。
受給中に就業したらハローワークへ申告する
アルバイトをする場合は、必ずハローワークに申告する必要があります。短時間の労働や少額の収入であっても、正確に申告することが重要です。
失業手当受給中に1日4時間以上働いた場合、「就業」と見なされるため、その日は失業手当が支給されません。
また、収入が手当額の8割以上になる場合も支給対象外です。短時間や収入が少ない場合であれば手当を受給できる場合もありますが、労働時間が多すぎると支給が停止されます。
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失業保険の転職活動への活かし方
失業保険を受給しながらの転職活動では、計画的なスケジュールと積極的な情報収集が鍵となります。
ハローワークや転職サイトを活用し、求人情報を広く集めるとともに、自身のスキルや経験をアピールする準備を進めましょう。
再就職に有利な職業訓練を利用する
再就職を成功させるためには、職業訓練の利用が非常に有効です。
ハローワークでは様々な職業訓練コースが提供されており、これに参加することで新たなスキルを身に付け、求職活動を有利に進めることができます。
信頼できる求人サイトやハローワークを活用する
求人情報を探す際は、信頼できる求人サイトやハローワークの情報を活用することが重要です。
また、企業の公式ウェブサイトや転職フェアなども有効な手段です。
求人情報の内容をよく確認し、自分の条件に合った仕事を選ぶよう心がけましょう。
失業保険を利用した転職成功事例
失業保険を利用して転職に成功した事例を紹介します。
Aさんは自己都合退職後、失業保険を受給しながら職業訓練に参加しました。
新たなスキルを身に付けたことで、以前よりも良い条件の仕事に再就職することができました。
このように、失業保険を有効活用することで、次のステップに進むチャンスを広げることができます。
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再就職手当の受給条件と手続き方法
再就職手当は、失業保険受給中に早期に再就職が決まった場合に支給される手当です。
以下は、その受給条件と手続き方法についての概要です。
再就職手当の受給条件
失業保険の受給中、再就職が決まると再就職手当を受け取れます。
再就職が決まった時点で、まだ受給可能日数が3分の1以上残っていることが条件です。
また再就職先の雇用形態が、1年以上の継続した雇用が見込まれるものであることも必要です。
契約社員やパートでも、1年以上の契約があれば対象となります。
再就職手当の手続き方法
再就職手当を受給するための手続きは、次のステップで進めます。
- 再就職後に「就職・再就職手当支給申請書」を提出
- ハローワークに申請書を提出
- 審査後、手当が支給される
再就職が決まったら、再就職後にハローワークから「就職・再就職手当支給申請書」を受け取り、必要事項を記入して提出します。
ハローワークによる審査を経て、再就職手当が支給されます。支給額は、失業保険の残存日数に応じて決まり、早期に再就職するほど多く受け取れる仕組みです。
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失業手当受給中の健康保険や年金の支払い
失業手当を受給中でも、健康保険や年金の支払いは続ける必要があります。
退職すると、会社で加入していた健康保険と厚生年金から脱退するため、それぞれ別の方法で支払い手続きを行わなければなりません。
健康保険の支払い方法
退職後の健康保険には、以下の選択肢があります。
- 任意継続健康保険
- 国民健康保険
- 家族の扶養に入る
退職後、最大2年間は退職前に加入していた会社の健康保険を継続できます。
保険料は全額自己負担(会社が負担していた分も支払う)になりますが、継続性を保てるため、医療費の負担軽減や家族の扶養継続が可能です。
年金の支払い方法
退職後は、自動的に厚生年金から国民年金に切り替わります。
また、もし失業中で収入がない場合、国民年金の保険料免除や支払い猶予制度を申請できます。
免除・猶予が認められれば、保険料の支払いを軽減または一時的に停止することが可能です。
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失業保険に関する最新情報
失業保険の制度は法改正によって詳細は都度変わります。
現時点で決定している変更事項を解説するので、最新情報をおさえておきましょう。
自己都合退職者の給付制限期間の短縮(2025年4月施行)
2025年4月1日より、自己都合で退職した場合の失業給付(基本手当)の給付制限期間が、従来の2か月から1か月に短縮されます。
自己都合退職者もより早期に失業給付を受け取ることが可能となります。
教育訓練受講による給付制限の解除(2025年4月施行)
離職期間中や離職前1年以内に、雇用の安定や就職促進に必要な教育訓練を受講した場合、自己都合退職であっても給付制限が解除され、待機期間(7日間)終了後すぐに失業給付を受け取ることが可能となります。
改正は2025年4月予定です。
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失業保険に関するよくある質問
失業保険に関するよくある質問に回答します。
正しい知識を身につけてください。
自己都合退職の場合の失業保険はどうなる?
自己都合退職でも、条件を満たしていれば失業保険を受給できます。
ただし自己都合退職の場合、失業保険の給付には2カ月の給付制限期間があります。この期間中は失業給付金を受け取ることができません。
また、会社都合退職の場合よりも受給期間が短く、もらえる金額が減る可能性があります。

失業保険の受給資格を満たすための条件は?
失業保険の受給資格を満たすためには、雇用保険に一定期間以上加入していることが必要です。
自己都合退職の場合、過去2年間に12カ月以上の被保険者期間が求められます。
また、会社都合退職の場合は6カ月以上の被保険者期間が必要です。
65歳以上でも失業保険を受給できる?
65歳以上の被保険者は、一般的な失業保険の給付を受けることができません。失業保険の基本手当は64歳以下が対象です。
ただし、65歳以上の失業者を対象とした年齢求職者給付金という制度があります。
給付金は、再就職支援のための一時金として支給されます。

失業手当(失業保険)は手続き後、いつ振り込まれる?
失業手当(失業保険)は、手続き完了後に以下の流れで振り込まれます。
- 待期期間(7日間):
失業手当の申請を行い、ハローワークにて求職の申し込みをした後、最初に7日間の待期期間があります。この期間中は、失業手当は支給されません。 - 給付制限期間(自己都合退職の場合):
自己都合退職の場合は、待期期間終了後、さらに2か月の給付制限期間が設けられます。この間も手当は支給されません。会社都合退職の場合、給付制限はなく、待期期間終了後に支給が開始されます。 - 最初の失業認定日:
待期期間後、初めての失業認定日(通常4週間後)にハローワークで失業認定を受け、その約1〜2週間後に初回の失業手当が指定の口座に振り込まれます。
振り込まれるタイミング
- 自己都合退職の場合:申請からおよそ2か月と1週間後に初回の振り込み。
- 会社都合退職の場合:申請から約1か月後に振り込み。
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