再就職手当の基本、受給方法とハローワークでの手続き
再就職手当とは?失業保険と雇用定着を促進するための支援制度
再就職手当とは、失業保険の受給者が早期に就職することを促進するために支給される手当のことです。
失業保険を受給中にハローワークや民間の職業紹介事業者を通じて、または自身で新しい就職先を見つけて再就職し、雇用が決定した場合、一定の条件を満たすことで支給されます。再就職後の賃金が前職と同等もしくはそれ以上であることも、受給において考慮される場合があります。
再就職手当は、失業者の生活の安定を支援し、早期の職場定着を促進する目的で設けられた制度です。手続きは原則として、失業保険の受給を管理する管轄のハローワークで行います。
失業手当と再就職手当の違い|支給金額、受給条件、制度の違いを解説
失業手当:離職後の生活を支えるために給付され、離職票を用いて雇用保険の資格者として認定される必要があります。受給には管轄のハローワークでの求職活動が必要です。また、受給期間中の賃金の変動や就業状況に応じて、支給額が調整されることもあります。
再就職手当:早期の就職を奨励し、再就職先の就業期間が1年未満の場合でも支給対象となることがあります。雇用保険の受給者資格を持ち、所定の期間内に再就職を決定した場合に支給される手当です。再就職手当を受給するためには、失業者が所属する管轄のハローワークで手続きを行い、再就職先の確認を受けることが必要です。
再就職手当の目的|再就職の促進とハローワークでの支援方法
再就職手当は、失業保険の受給期間を短縮し、早期の雇用定着を促進することを目的としています。
ハローワークや求人情報を通じて再就職を果たした方が、安定した職業生活を早期に確保しやすくなるよう、支給金額や受給条件を工夫しています。再就職後の賃金が安定して得られることも、再就職手当支給の目的の一つです。
これにより、失業保険の受給者が求職活動を積極的に行い、再就職後の就業を支援することを目指しています。
就業促進定着手当について
就業促進定着手当は、失業保険の受給者が新しい職場で長く働くことを支援するための制度です。この手当は、再就職後に一定期間勤務した場合に、再就職手当を受け取った後の所得を補填する形で支給されます。以下では、就業促進定着手当の概要、受給条件、支給額、申請方法、注意点などについて詳しく解説します。
就業促進定着手当の概要
就業促進定着手当は、再就職手当を受給して新しい職場に就職した後、その就職先で6ヶ月以上勤務した場合に、賃金の低下分を補う形で支給されることがあります。この制度は、再就職手当を受けて就職したものの、前職と比べて賃金が低下した場合に、生活の安定を図ることを目的としています。
就業促進定着手当の受給条件
- 再就職手当を受給していること
- 再就職先での雇用期間が6ヶ月以上であること
- 再就職先の賃金が前職に比べて低いこと
- 6ヶ月の就労を証明する書類を提出すること
- 就労が不安定でないこと
就業促進定着手当の支給額
就業促進定着手当の支給額は、以下の計算式で算出されます。
支給額 = (前職の賃金月額 – 再就職先の賃金月額) × 6ヶ月
ただし、支給額は再就職手当の支給額を超えない範囲で計算されるため、前職と再就職先の賃金差が大きい場合でも、受給額には上限があります。
就業促進定着手当の申請方法
就業促進定着手当の申請は、再就職先での勤務開始から6ヶ月を経過した時点で行います。申請には以下の書類を用意し、管轄のハローワークで手続きを行います。
- 就業促進定着手当支給申請書(ハローワークで入手可能)
- 賃金台帳または給与明細の写し(6ヶ月分)
- 雇用契約書の写しまたは就業証明書(勤務期間が確認できるもの)
申請後、ハローワークでの審査を経て、支給が決定されます。通常、申請から2〜4週間で手当が支給されることが一般的です。
就業促進定着手当の申請時の注意点
- 6ヶ月以内に退職した場合、支給対象外となる。
- 再就職先の賃金が適切に申告されていることを確認する。
- 申請期限(再就職後6ヶ月経過時から1ヶ月以内)に注意する。
就業促進定着手当を受給するメリットと活用法
就業促進定着手当は、再就職後の賃金低下による生活の不安を解消し、長期的な雇用を促進する効果があります。この手当を活用することで、安心して新しい職場でのキャリア形成に取り組むことができるため、ぜひ積極的に申請を検討しましょう。また、再就職手当と併せて利用することで、失業保険制度を最大限に活用することができます。
さらに詳しい情報や個別の状況については、ハローワークに相談することをおすすめします。
再就職手当の受給条件|対象となる就職先、受給条件、支給制限について
再就職手当の基本受給条件
再就職手当を受けるためには、以下の条件を満たす必要があります:
- 失業手当の所定給付日数が3分の1以上残っていること
- 新しい就職先での就業期間が1年以上見込まれること(パートやアルバイト、短期契約社員の場合は対象外です)
- 再就職後の賃金が就職前の賃金と大きく変わらないこと(雇用形態や賃金により受給条件が異なる場合があります)
- 過去3年以内に再就職手当または常用就職支度手当を受給していないこと
- 待機期間(7日間)を経過していること
- 求職申込み前に内定が出ていた事業主への雇用でないこと
- 雇用保険の被保険者資格を持っていること
- 就職先が管轄ハローワークでの手続き後に認定されたこと
参考:雇用保険受給資格者のみなさまへ 再就職手当のご案内|厚生労働省 都道府県労働局 公共職業安定所(ハローワーク) 地方運輸局
再就職手当が支給対象外となるケース
次のようなケースでは再就職手当を受け取ることができません:
- 雇用保険の被保険者資格を得る前に再就職した場合
- 自己都合で退職後、待期期間経過後の1か月以内にハローワーク経由で仕事を決定しなかった場合
- 再就職後すぐに退職し、1年以内に雇用が満了した場合
- 再就職後の賃金が前職と大きく異なり、生活の安定が見込めない場合(管轄ハローワークの判断により支給が見送られることがあります)
会社都合か自己都合かでの違い
失業理由は「会社都合」と「自己都合」の2つに分けられます。それぞれの違いは、以下のポイントにまとめられます。
1. 待期期間と給付制限期間の違い
- 会社都合の場合:退職後、7日間の「待期期間」が終わるとすぐに失業手当の支給が開始されます。この場合、給付制限期間はありません。
- 自己都合の場合:7日間の待期期間に加え、さらに2か月の「給付制限期間」が発生します。この期間中は失業手当を受け取ることができません。
2. 再就職手当の受給条件の違い
- 会社都合の場合:給付制限期間がないため、ハローワーク以外で内定をもらった場合でも、受給条件を満たしていれば再就職手当を受け取ることができます。
- 自己都合の場合:給付制限期間中に就職先が決まった場合、再就職手当を受け取ることができません。給付制限期間を経過した後に就職が決まれば、条件を満たしている場合に再就職手当を受け取ることが可能です。
3. 自己都合でも給付制限が発生しない「正当な理由」のある場合
自己都合による退職でも、以下の「正当な理由」がある場合は給付制限期間が免除され、すぐに失業手当の支給を受けられるようになり、給付制限期間が免除されます。
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健康上の理由
- 病気やけが、視力や聴力などの身体的な障害によって仕事を続けられなくなった場合。
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妊娠・出産・育児に関する理由
- 妊娠、出産、育児のために仕事を辞めた場合。
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家庭の事情による理由
- 親や配偶者など、家族の病気や介護の必要性、または家族の死亡による扶養のために仕事を辞めた場合。
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通勤が困難になった場合
- 結婚などの理由で住所が変わり通勤が困難になった、または勤務先が遠方に移転した場合。
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配偶者の転勤などの家庭事情
- 配偶者の転勤や出向により別居生活を避けるために退職した場合。
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希望退職に応じた場合
- 企業のリストラや人員整理による希望退職に応じて退職した場合。
まとめ
失業理由が「会社都合」か「自己都合」かで、受給できるタイミングや条件が大きく異なります。特に自己都合で退職した場合は給付制限期間があるので、再就職手当の受給を希望する際には条件をしっかり確認しましょう。
ハローワーク以外での再就職手当の受給方法
民間の転職エージェントの活用
民間の転職エージェントを利用することで、再就職手当を受けることができます。転職エージェントは幅広い求人情報を提供し、求職者のスキルや希望に合わせた職業紹介を行います。
知人の紹介やネット求人の利用
知人の紹介やネット求人サイトを利用して就職先を見つけた場合も、再就職手当の対象となります。ハローワーク以外の方法でも再就職手当の受給が可能です。
企業との直接契約での再就職
企業との直接契約で終業する場合も、条件を満たせば再就職手当を受けることができます。自分で企業にアプローチし、採用が決まった場合でも問題ありません。
厚生労働省の許可がある事業所経由での再就職
厚生労働省の許可を受けた職業紹介事業所(有料職業紹介事業所)を利用して再就職した場合も、再就職手当の受給が可能です。これらの事業所は、厚生労働省の認可を受けているため、信頼性の高い職業紹介を行います。ただし、求職者自身が紹介料を支払う場合は再就職手当の対象外となるため、事前に確認しておくことが重要です。
再就職手当の計算方法と支給金額|支給日数と残日数の計算式を解説
再就職手当の計算式
再就職手当については、支給残日数が2/3以上残っている場合は基本手当の支給残日数の70%、1/3以上残っている場合は60%の金額が支給される決まりです。以下の式で算出できます。
「基本手当日額 × 支給残日数 × 支給率(60%または70%)」
再就職手当の具体的な金額例
例えば、基本手当日額が5,000円で支給残日数が60日の場合、支給率が70%ならば、再就職手当は「5,000円 × 60日 × 70% = 210,000円」となります。
なお、支給残日数は、再就職日の前日からの残日数に待期期間の7日を含めて数えます。
受給額を最大化するためのポイント
再就職手当を最大限に受け取るためには、支給残日数が多い時期に就職することが重要です。また、1年以上の安定した雇用を目指すこともポイントです。さらに、再就職先での終業時間が適切か、業務量や就業形態が無理なく継続できるものであるかも重要なポイントです。これにより、職場環境の安定と持続可能な就業が可能となります。
再就職手当の申請手続き
必要書類の準備方法
再就職手当を申請するために必要な書類には、「雇用保険受給資格者証」「失業認定申告書」「採用証明書」があります。これらの書類を正確に準備することが重要です。
申請の流れと注意点
申請手続きは、再就職先で採用証明書を取得し、自身の支給番号を記入します。「採用証明書」「雇用保険受給資格者証」「失業認定報告書」をそろえてハローワークに提出すれば、手続きは完了です。
書類の提出期限は、原則として再就職日の前日までです。申請期限を守り、必要な書類を完備して提出することが求められますが、万が一間に合いそうにない場合は、後日提出する旨をハローワークに伝えましょう。
手続きをスムーズに行うためのヒント
手続きをスムーズに行うためには、事前にハローワークで必要書類を確認し、漏れなく準備することが重要です。採用証明書は、失業手当の申請時に配布される「受給者のしおり」に含まれています。紛失した場合は、厚生労働省のHPからダウンロードできます。また、再就職が決まったらすぐに手続きを開始することが望まれます。
特定の職業に向けた再就職手当の活用法
保育士向けの再就職手当
保育士として再就職する場合も、再就職手当の対象となります。保育士は需要が高く、再就職が比較的容易であるため、再就職手当の利用を検討する価値があります。
保育業界での再就職事例
保育業界での再就職事例を紹介し、再就職手当の活用方法を解説します。保育士資格を持つ求職者は、再就職手当を利用して早期に再就職を果たすことができます。
再就職手当に関するよくある質問
申請を忘れてしまった場合
申請を忘れてしまった場合でも、就職日の翌日から2年間までは申請できます。雇用保険の給付金の時効は2年間とされているためです。ただし、必要な書類を集めるのに苦労する可能性がありますし、時間が経ってから会社に手続きを依頼しても「今さら?」という反応も想定されます。ですので、なるべく早めに申請するのがおすすめです。
参考:申請期限が過ぎたことにより給付を受けられなかった方へ|厚生労働省
正社員以外は対象外なのか
再就職手当は、雇用形態によって区別されません。アルバイトやパート・フリーランスでも条件を満たせば受給できます。ただし、いずれのケースでも受給の条件を全て満たすことが必須です。アルバイトやパートの方にとってネックなのが、1年以上の継続した雇用・雇用保険の加入などの条件です。再就職手当の受給を希望する場合は、長期雇用に加え、雇用保険加入の条件を満たす働き方・職場を選ぶ必要があります。フリーランスは事業の継続性を提示することがポイントです。ハローワークの判断次第では、受給が困難になる可能性もあります。
再就職手当の使い道
再就職手当は、早期の就職を促進するために設定された手当です。何かの目的を達成するために支給される助成金などとは異なり、使い道について定める法律はありません。受給されたお金をどのように使うかは、個人の自由となっています。
まとめ
再就職手当の重要性と効果
再就職手当は、早期再就職を促すための制度です。就職が決まったときは、基本手当の支給残日数に応じた金額が支給されます。残日数が多いほど金額も増えるので、就職が決まったらすぐに手続きするのがおすすめです。
待期期間後の1カ月後を経過して仕事を探すなら、ハローワーク以外の経路でも失業保険を活用した再就職手当の対象となるので、できるだけたくさんのルートから職を探すのがおすすめです。
早めに就職活動をスタートさせることが、早期再就職のカギとなるでしょう。
適切な再就職手当の受給法
今回の記事では、ハローワーク以外で内定をもらっても再就職手当を支給されることについて解説しました。
再就職手当は不正受給を防止するため、審査は厳しく行われています。
ぎりぎりで条件をクリアしたと思ったら、申請が通らなかったというケースもあるので、条件や申請方法はよく確認しておきましょう。